2015 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおける復興住宅に係る住宅安全性及び住民のリスク認知の経年変化
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15H05135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 健二 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90418682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SINGER Jane 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00570003)
安部 美和 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 特任助教 (40619805)
落合 知帆 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80582022) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害後再建住宅 / 住民参加 / 住宅の長期的変化 / 防災意識の長期的変化 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地震及び津波により大きな被害を受けたインドネシアのアチェ、ジョクジャカルタ、パダンの3都市において、防災意識の向上に効果が高いとされる住民参加型手法により災害後の住宅再建が実施された地域の住民を対象として、①住宅再建および生活再建に係る行政対応の実態を明らかにしたうえで、②住宅安全性と空間構成、③生活形態、④リスク認知と防災行動の長期的変化を明らかにすることを目的としている。特に、復興住宅は長期的視点での検証がほとんど行われておらず、災害から6-10年が経過した3都市において、再建当時採用された再建手法や支援策が住宅や生活の変化にどのような影響を与えたかを検証する必要がある。具体的には、3つの災害における住宅再建及び生活再建に関する行政対応や支援策の文献収集及びヒアリング調査、現地調査による再建住宅の空間構成とその変化に関する実測調査、生活形態の変化に関する聞き取り調査、個人のリスク認知と防災行動に関するアンケート調査を実施し、分析する。 平成27年度は初年度であり、まず現地状況を把握した上で、調査対象とした3都市から6地区(各都市2地区)を選定した。これらの地区の復興再建にかかる文献収集を行うとともに、居住者に対して実際の支援策等についてヒアリング調査を行った。さらに、所有者状況調査および住宅実測調査を実施し、再建住宅の所有者変化、住再建時の参加及び支援状況、再建住宅の屋内外の変化について、調査対象地区の全体像を把握した。これらの地図情報、詳細情報、写真データ等の整理も行った。これらの調査は、28年度も引き続き行う。 再建住宅居住者のリスク認知・防災行動の変化に関する予備的な聞き取り調査および、プレ・アンケート調査を実施し、アンケート項目の選定・修正、対象者及び調査方法等の選定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象3都市において、調査対象地6地区(1都市2地区)の選定を実施すると共に、6地区を対象とした所有者状況調査、住宅実測調査(ベースライン調査)、および再建住宅居住者のリスク認知・防災行動の変化に関するプレ・アンケート調査を実施した。また、現地インドネシア調査チームと協同し現地調査およびデータ整理を行うなど、海外での調査計画を概ね予定通り実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の現地調査を基に決定したアチェ、ジョクジャカルタ、パダンの3都市6地区において、各研究者がさらなる詳細調査を実施する。各分野の調査結果を総合し、政策・技術・社会的側面および長期的な視点から調査結果を考察することで、参加型による復興住宅の安全性と住民のリスク認知の経年変化とその課題を明らかにする。現地調査はバンドン工科大学の海外共同研究チームとの協力・連携により実施する。 各分野の具体的な実施計画は、以下の通りである。 1.災害後の住宅再建および生活再建における行政対応および支援対策: 3つの災害において住宅再建及び生活再建に対する行政対応や支援策等について、文献収集やヒアリング調査を行い、得られたデータを整理する。 2.再建住宅の安全性と空間構成の変化: 調査対象6地区において、再建住宅の増改築や経年劣化などの長期的な変化に関して、実測など詳細な現地調査を行い、得られたデータの整理・分析を行って、課題を明らかにする。 3.再建住宅における生活形態の変化と適応: 同様に6地区において、再建住宅において生活形態がどのように変化し、住民がどのように適応してきたかについて、ヒアリングなど詳細な現地調査を行い、得られたデータの整理・分析し、長期的変化がもたらした影響を明らかにする。 4.再建住宅居住者のリスク認知・防災行動の変化: 同様に6地区において、住民参加型による住宅再建が個人のリスク認知、コミュニティ内の関係や取組にどのような影響を与え、それらが長期的にどのように変容したのかについて、アンケート調査などによる詳細な現地調査を行い、得られたデータを整理・分析し、住民参加の影響を明らかにする。
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Research Products
(1 results)