2016 Fiscal Year Annual Research Report
Trade and Values of Carnelian Ornaments in South Asia: Study on Change in Tradition and Social System
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15H05147
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Research Institution | Kobe Yamate University |
Principal Investigator |
小磯 学 神戸山手大学, 現代社会学部, 教授 (40454780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 三津子 奈良女子大学, 共生科学研究センター, 研究支援推進員 (10423245)
村山 和之 和光大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80453968)
遠藤 仁 秋田大学, 国際資源学研究科, 客員研究員 (80551548)
小磯 千尋 金沢星稜大学, 教養教育部, 准教授 (00624206)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 紅玉髄製ビーズ / 民族考古学 / アイデンティティ / 祭り / 伝統 / 工芸 / 地理 / ナガ |
Outline of Annual Research Achievements |
①平成28年8月28日-9月2日に同志社大学(京都)で開催された世界考古学会議・第8回京都大会(WAC-8)の分科会T06-L「ビーズと翡翠:アジアにおける国際的な考古学」において、その南アジアセクションを本科研代表者小磯学及び研究協力者Tiatoshi Jamir(ナガランド大学歴史・考古学部)で企画し、(日本人、インド人、アメリカ人、ミャンマー人からなる)5グループの発表会を実施した。これには本科研からは遠藤仁(研究分担者)・小磯学 “Bead making technology: Comparison of Harappan and Modern examples in Northwest India” とTiatoshi Jamir・Ditamulu Vasa(ナガランド大学歴史・考古学部、本科研究協力者)(両名とも本科研で本会議に招聘) “Archaeological evidence on the use of beads from Naga ancestral sites: A summary report” が発表を行い、南アジア及び東南アジアを研究対象とする研究者らと情報交換の場を持つことができた。 ②研究分担者の小磯千尋・遠藤仁・渡邊三津子が平成28年12月29日-平成29年1月7日にインド・ナガランド州を訪れ、同地方南端のタンクール・ナガと北端のコニャク・ナガが受け継ぐビーズなどの工芸品に関する聞き取り調査及び土地の地理的調査を行った。 ③小磯学が平成29年1月10日-17日にミャンマー・サガイン州を訪れ、同国内に居住するナガが行う新年祭の調査を行った。 ④小磯学が平成29年2月15日-24日にナガランドを訪れ、コノマ村のセクレニ祭りの調査を行った。 ⑤小磯学・小磯千尋が平成29年3月16日-23日に中国雲南省を訪れ、同地方で採取される紅玉髄とこれを用いたビーズなどの工芸品について昆明などの市場を巡り調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミャンマー、中国の調査と課題: 平成28年8月28日-9月2日の世界考古学会議への参加、インド・ナガランド州、ミャンマー・サガイン州、中国雲南省での調査、及び文献調査を通じて、これら3つの地域に広がる諸民族とそれらの間に共通して見られる紅玉髄製ビーズの利用について、現地取材及び研究者らを通じて情報を集めることができた。いまだ情報は限られているものの、紅玉髄がこれら3つの国各々で産出し、2000年間ないしそれ以上にわたって工芸品づくりが行われてきたことが明らかになった。 同時にまた、隣接する上記3つの地域間で交易活動によって紅玉髄製品が相互に運ばれた可能性も指摘できる。紅玉髄の採掘、ビーズなどの工芸品の製作技法や形態、そしてそれらの年代などの比較検討が大きな課題として残されている。考古学的な事象を含めた一層多くの情報を、日本や現地の研究者などからさらに集めていく必要がある。 ナガランド州での祭りの調査:本科研の中心となるナガランド州においては、ナガ民族のなかでも紅玉髄製ビーズの交易と使用の中心的な存在といえるアンガミ・ナガ(ナガランド州南部)に引き続き重点を置いて調査を進めてきた。なかでも男女ともに紅玉髄製ビーズを初めとする豪華な装身具を身に着けるセクレニ祭の取材を重ね、正装時に身に着ける紅玉髄製ビーズと祭りとの関係、またアイデンティティの拠り所としての装身具について理解を深めることができた。また祭りでは現地原産のミトゥン(ウシの一種)やインドウシ、ブタなどがご馳走として食されるが、こうした家畜についての調査も深めることができた。 ナガランド州の調査範囲の拡大: 上記に加え、ナガ民族の居住域全体の最北端にあたるコニャク・ナガと最南端(アンガミ・ナガよりもさらに南方)のタンクール・ナガの調査も進め、装身具の使用について比較検討を可能にする情報収集に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であることから、これまで得た情報を網羅した最終的な報告書の作成に全員が専念する。昨年度までに参加した海外の学会などの経験でもナガの調査報告の期待が大きいため、英文で執筆する。専門の会社に校正を依頼する予定であり、その時間的な余裕を鑑み第1稿の原稿締切りを11月末に設定する。調査対象としてきた祭りなどは1月以降に多いため、原稿脱稿後に改めて調査に向かい、将来に向けた新たな情報の蓄積に努める。
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Research Products
(4 results)