2017 Fiscal Year Annual Research Report
Trade and Values of Carnelian Ornaments in South Asia: Study on Change in Tradition and Social System
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15H05147
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Research Institution | Kobe Yamate University |
Principal Investigator |
小磯 学 神戸山手大学, 現代社会学部, 教授 (40454780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小磯 千尋 金沢星稜大学, 教養教育部, 准教授 (00624206)
渡邊 三津子 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 助教 (10423245)
村山 和之 和光大学, 表現学部, 講師 (80453968)
遠藤 仁 秋田大学, 国際資源学研究科, 客員研究員 (80551548)
小茄子川 歩 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 客員准教授 (20808779)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 紅玉髄 / 工芸品 / 伝統 / 流通 / 価値観 / 南アジア / ナガランド / パキスタン |
Outline of Annual Research Achievements |
3年にわたる現地調査の結果、とくにインド北東部・ナガランド州とパキスタン・パンジャーブ州において、各々紅玉髄製ビーズを中心とした装身具の流通と価値観の現状について現状を記録することができた。 ナガランドの9割を占める民族集団ナガは、20世紀半ば以降急速に進んだ改宗の結果、今ではその99%がキリスト教を信仰している。紅玉髄製ビーズを多用した首飾りは、本来は改宗以前の精霊崇拝やその信仰に基づく祭りの際の正装でもある。そうした本来の信仰上の意味は忘れられつつあるが、それでも各々の「ナガ」集団のアイデンティティの証として、今も伝統に根差した祭りが開催され、こうした首飾りを男女ともに身につける。一方で、当地への入域許可取得義務の解除やヨーロッパなどの人類学者らが編纂した写真集、さらに州政府が開催を始めたイベントとしての「フェスティバル」などによって、ナガの人々は彼らの土地の外の人々(外国人観光者とともにインド本土のインド人を含む)から向けられている「まなざし」を意識するようになった。そのことが改めて先祖から受け継がれた首飾りを含む文化を見直す機運を生んでいる。キリスト教への信仰はこれからも変わらないとしても、今改めて「ナガとは何か」が問われており、その要となっているのが首飾りであるといってよい。 またパキスタンの調査では紅玉髄製の数珠や指輪を好むイスラーム教徒の調査が進められ、ナガと同じく自らのアイデンティティの証としてこの石材が意識されていることが明らかになった。 紅玉髄製装身具が、単なる美的なファッションではなく、このように多民族・多宗教のもとで各々の人々が自らの文化を象徴するアイテムとして重視されていることが確認できたことが、本研究の大きな成果である。 成果報告書は海外共同研究者とともに日本人もすべて英文で執筆したことから、海外に向けて本研究を大きくアピールする材料にもなったと考える。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)