2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study on Care-network and Intimacy of Family
Project/Area Number |
15H05148
|
Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
宮坂 靖子 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (30252828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 真理 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20242894)
青木 加奈子 京都ノートルダム女子大学, 生活福祉文化学部, 講師 (30737531)
磯部 香 奈良女子大学, アジア・ジェンダー文化学研究センター, 特任助教 (30786158)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ケアネットワーク / 親密性 / 家族 / ジェンダー / 社会学 / 国際比較 / 中国 / デンマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度に行った研究活動は以下の4点である。(1)研究会の開催、(2)デンマークにおけるインタビュー調査の実施、(3)中国におけるインタビュー調査等の実施、(4)公開研究会(共催)の開催。 (1)研究会の開催:日本と中国において計4回開催し、研究計画と調査票の検討を行った。(2)デンマーク:2016年8月にコペンハーゲン市において育児中の母親に対するインタビュー調査を行った。また、高齢者施設の見学とヒアリングも実施した。(3)中国:黒竜江省ハルビン市と遼寧省大連市において育児中の母親に対するインタビュー調査実施したほか、「絵本ママの会」の活動の見学を行った。また、大連市において、早期教育塾と私立幼稚園の見学とヒアリング調査を実施した。さらに、大連市においては、高齢者介護施設の見学とヒアリング調査、および高齢者と高齢者の介護者に対するインタビュー調査を実施した。(4)「ケア&生基盤」研究会(研究代表:山根真理)と共催で公開研究会「ケア・ジェンダー・生基盤」を2016年12月23日に刈谷市中央生涯学習センターにて開催した。「ケアと親密性」報告内容:宮坂靖子「『ケアと親密性』科研プロジェクトの概要」、磯部香「早期教育からみる現代中国の子育て」、青木加奈子「デンマーク社会における仕事と子育ての両立実態」。 本年度の成果の第一は、デンマークにおけるインタビュー調査の実施で、母親7名(うちカップルが2組)に実施することができた点であり、調査結果は(一社)日本家政学会家族関係学部会や公開研究会にて報告を行った。成果の第二は、中国での調査の進展であり、育児期の母親と高齢者および高齢者介護者という育児と高齢者介護という双方のケアに関するインタビュー調査を実施できたことである。本年度に実施したインタビュー件数は、育児中の母親17名、高齢者16名、高齢者介護者17名となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「平成28年科学研究費助成事業交付申請書」に記入した2016年度の研究実施計画は、(1)デンマークにおける調査の実施、(2)中国における調査の実施、(3)日本おける予備調査の実施、の3点であった。各項目の実際の進捗状況は下記の通りである。 (1)デンマーク : 乳幼児の母親に対するインタビュー調査、②高齢者施設の見学とヒアリング調査、③デンマークに移住した日本人と中国人に対するインタビュー調査を実施することができた。インタビュー調査の累積対象者数は、デンマーク人母親8名(うち2名はカップルで調査)、デンマーク在住日本人6名(父親1名、母親5名)、同中国人3名(すべて母親)となった。他方で、育児中の保護者に対する質問紙調査は準備不足のため、高齢者の介護者に対するインタビュー調査は依頼していたインフォーマントの都合で実施できなかった。(2)中国 : ①育児中の母親に対するインタビュー調査(専業母、有職母の双方)、②高齢者と高齢者介護者自身に対するインタビュー調査は実施できたが、③質問紙調査には着手できなかった。インタビューの累積調査対象者数は、育児関係計22名、高齢者関係計33名(高齢者16名、高齢者介護者17名)となった。また早期教育に関するケース研究を大連市および北京市で実施し、早期教育塾の主宰3名、塾講師13名に対するインタビュー調査を実施した。(3)日本:育児中の母親に対する予備調査、高齢者に対するインタビュー調査(ケース研究)を予定していたが、いずれも未着手となった。 中国においては、育児と高齢者という双方テーマで研究を進めることができているが、デンマークでは育児中心の調査となっている。また、インタビュー調査と質問紙調査の双方の実施を目指しているが、調査票は検討中で未完であるため、3ヶ国いずれにおいても調査の遂行に課題を残している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、日本・中国・デンマークの3ヶ国において、育児と高齢者介護という2種類のケアを取り上げ、インタビュー調査と質問紙調査の双方を実施することを計画していたが、調査地の事情や準備状況を考慮して、3ヶ国比較は育児領域のみで実施することに変更することとした。調査予定地は、中国(遼寧省大連市、黒竜江省哈爾浜市)、日本(愛知県名古屋市)、デンマーク(コペンハーゲン市)である。各地域の具体的計画については以下の通りである。 (1)中国:①育児:(a)乳幼児の育児を行っている母親に対する質問紙調査を実施する。(b)必要に応じ、乳幼児をもつ専業主婦(専業母)に対して補足的にインタビュー調査を実施する。②高齢者介護:(a)高齢者自身に対する質問紙調査を実施する。(b)可能であれば、高齢者介護の担当者に対する予備調査を実施する。(2)デンマーク:①育児:(a)乳幼児の育児を行っている母親に対する質問紙調査を実施する。(b)必要に応じて可能であれば、母親に対するインタビュー調査も行う。(3)日本:①育児:(a)乳幼児の子育てを行っている母親に対する質問紙調査を実施する。②高齢者介護:(a)高齢者自身に対する質問紙調査を実施する。(b)可能であれば、高齢者介護の担当者に対する予備調査を実施する。 育児というケアについては3ヶ国間比較を目指すが、高齢者に関するケアについては、デンマークを除いた日本と中国の2ヶ国間比較とせざるを得ない。また、育児と高齢者介護の当事者を対象にした調査の他、大学生を対象としたケア意識に関する質問紙調査を日本と中国で実施する。国際比較を行うためには、デンマークでの調査実施可能性を高めることと質問紙調査の実現が大きな課題となる。
|
Research Products
(14 results)