2016 Fiscal Year Annual Research Report
清朝末期における中国踏査写真資料に関する発展的研究
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15H05149
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
関 紀子 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, アソシエイトフェロー (70510220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 淳 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 部長 (20227622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 美術史 / 写真史 / 建築史 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治26年(1893)に岡倉天心と早崎コウ吉が行った中国調査と、明治42年(1909)に塚本靖が行った中国調査について、『岡倉天心日記』と塚本靖著『続清国内地旅行談』の記載から調査行程を検証し、清朝末期に同地を踏査した竹添井井の『桟雲峡雨日記』、桑原隲蔵の『考史遊記;山東河南遊記』、伊東忠太の『支那旅行談』等の記述と比較しながら実地調査を行った。調査は2回実施し、河南省鄭州から河南省開封・登封までの行程と、河南省湯陰から河北省荊州までの行程について、該当調査で撮影された写真資料の撮影地を特定し、現状との比較を行った。また、写真が撮影されていない調査地についても、調査記録に記載されている史跡については可能な限り確認を行った。 (1)第1回調査、河南省鄭州から河南省開封・登封(平成28年8月16日~ 8月23日) 河南省開封市:龍亭、鉄塔、相国寺、禹王台、繁塔、河南省蘭考県:蘭儀口、河南省鄭州市:虎牢関、河南省鞏義市:鞏県石窟、宋陵(永昭陵)、宋陵(永熙陵)、河南省偃師市:昇仙太子碑、河南省登封市:会善寺、永泰寺、少林寺、劉碑寺、中岳廟、嵩陽書院、嵩岳寺塔、法王寺、崇福宮、三闕(太室闕、少室闕、啓母闕)、河南省密県:法海寺 (2)第2回調査、河南省湯陰から河北省荊州(平成28年11月20日~11月25日) 河南省湯陰県:岳飛廟、韓公廟、昼錦堂、河南省安陽市:天寧寺、河北省臨ショウ県:ギョウ城遺跡、南響堂山石窟、河北省邯鄲市:黄梁夢、河北省荊州市:予譲橋跡
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地調査については昨年度調査できなかった河北省邯鄲市付近及び河北省臨ショウ県のギョウ城遺跡を含め、年度計画をしていた調査地をほぼ調査することができた。 また、調査の成果として東京国立博物館平成館企画展示室において、特集「清国踏査游記―関野貞・塚本靖が撮影した史跡写真」(平成28年7月26日~9月4日)を開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、明治26年の岡倉天心・早崎コウ吉の中国調査のうち、陝西省西安から四川省成都及び四川省重慶から上海に至る長江沿いの調査について、明治9年に同地を踏査した竹添井井(進一郎)の『桟雲峡雨日記』の記述と比較しながら、実地調査を行う。 また、平成30年度に予定している特集展示の準備を進める。
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