2015 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア、シルクロード拠点都市と地域社会の発展過程に関する考古学的研究
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15H05166
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
山内 和也 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 室長 (70370997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊夫 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10135387)
吉田 豊 京都大学, 文学研究科, 教授 (30191620)
城倉 正祥 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90463447)
久米 正吾 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイロフェロー (30550777)
山藤 正敏 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイロフェロー (20617469)
増渕 麻里耶 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイロフェロー (50569209)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市遺跡アク・ベシム / キルギス、チュー川 / ソグド / 唐 / イスラーム / 東西文化の接点 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、夏季(6月19日~7月3日)及び秋季(10月27日~11月7日)に現地アク・ベシム遺跡において発掘調査を実施した。 夏季の調査においては、シャフリスタンと呼ばれる都市部分の構造及び歴史的変遷を解明するために、10世紀頃の文化層を調査した。その結果、「大通り」の両側に立ち並ぶ建物群が確認され、当時の人々の生活の在り様を理解する糸口が得られた。またカザフスタンの考古学者の協力を得て、地中レーダー探査を実施し、発掘区及び発掘区周辺において地中に残されている建物等の構造物の存在とその配置を確認し、都市形成の過程を理解する上で重要な情報を収集した。 秋季においては、シャフリスタンの東側に位置するラバトと呼ばれる地区の調査を行った。その結果、内城の城壁とそれに伴う建物の痕跡、そして中国式の灰色の瓦や焼成レンガ(磚)が出土した。この地区はこれまで12~13世紀の都市址と考えられてきたが、この調査の結果、この場所こそが、唐代の中国の西域経営の拠点であり、王方翼が築いた「砕葉城鎮」である可能性が高まった。 出土した遺物に関しては、現地宿舎及びビシュケクの科学アカデミーにおいて調査を行ったのみならず、一部の遺物(瓦、焼成レンガ、炭化物)については相手国の許可を得て日本に持ち帰り、調査研究を継続した。 本年度の調査の成果については、英文にて報告書を作成しキルギス共和国科学アカデミーに提出し、また日本考古学協会第82回(2016年度)総会にて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先方の協力機関であるキルギス共和国科学アカデミーとの良好な関係に基づき、現地における調査体制が確立され、円滑な調査研究が実施できた。発掘調査や地下レーダー探査によって都市の構造が明らかになりつつあり、中央アジアのチュー川流域の都市の形成過程の解明に関する情報を収集することができた。ラバトの発掘により、唐代の砕葉鎮城の位置もほぼ確定でき、将来的な調査研究の基礎を固めることができた。都市民と周辺遊牧民との関係については次年度以降、積極的に調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
発掘に適した春季に、シャフリスタンと呼ばれる都市遺跡の発掘調査を実施し、下層へと調査を進めることによって、都市構造の変遷に関する情報を入手する。夏季から秋季にかけては、昨年度及び今年度の調査で得られた資料を整理し、分析する。また、周辺遺跡の調査を実施することで、都市民と遊牧民の関係、特に土地利用の在り方を解明する。 シャフリスタンとラバトの両地区を並行して発掘調査を実施し、現地の住民が建設した都市と中国の唐が建設した都市を比較研究することによって、それぞれの文化が相互に与えた影響を解明する。
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Research Products
(4 results)