2015 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア旧石器・新石器移行期の基礎的研究-河南霊井遺跡出土品の徹底分析-
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15H05167
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
加藤 真二 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 室長 (20261125)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 霊井 / 土器出現期 / 細石刃 / 東アジア / 移行期 |
Outline of Annual Research Achievements |
海外調査:①5月28日―31日:河南省文物考古研究院にて調査・研究の計画の調整、土器付着物採取。國木田大に年代測定を依頼。また、別途、年代測定用試料8点を選別。加速器分析研究所に年代測定を委託、測定可能の7点で11,425±39~11,658±40yrBPの年代値を得る。②7月12日―19日:麻柄一志と関連遺跡の調査のため、訪中。高倉純同行。河北省油房、西沙河、黒龍江省桃山、河南省孫家洞ほかの調査状況、遺物等を観察。③11月23日―12月4日:芝康次郎、鹿又喜隆とともに、河北師範大学、河北省文物研究所、北京師範大学等で、河北省油房、于家溝、南荘頭、山西省下川など関連遺跡出土品の観察とサンプリング。河南省文物考古研究院にて霊井遺跡2009年出土石器の整理と石器使用痕分析、土器の詳細観察。國木田大ほか同行。④平成28年3月12日―17日:長沼正樹、高倉純とともに、黒龍江省文物考古研究所にて黒龍江省内の霊井関連遺跡出土品を観察、大慶博物館にて第四紀関連資料を観察。 学会等:①7月27日―30日:国際第四紀学連合(INQUA)名古屋大会参加、“Emergence of pottery in Northern China”、“The Utilization of Lithic Raw Materials during Upper Paleolithic in Eastern China”を発表。②平成28年2月27・28日:第17回北アジア調査研究報告会(石川県立歴史博物館)参加。加藤「華北における先細石刃石器群」、高倉純「北東アジアにおける細石刃剥離技術の多様性を解明する」を報告。 その他:平成28年2月29日―3月4日:李占揚ほか3名を中国から招聘、鹿児島県立埋蔵文化財センターで関連資料を調査、熊本大学で土器圧痕分析を依頼、平成28年度実施の了解を得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
霊井石器群と共伴した年代測定用試料、霊井ならびに河北省の諸遺跡における出現期土器の年代測定用試料のサンプリングと一部試料の年代測定を行なうことができた。特に、霊井の石器群と共伴した試料については、7点で11,425±39~11,658±40yrBPという、まとまった年代測定値を得ることができた。この結果、これまでの年代測定値とあわせて、石器群の年代をほぼ確定することができたと考えている。 霊井出土石器については、これまでの出土品の使用痕分析、2009年出土品の整理と実測を順調に進めることができた。 さらに、平成28年度以降の圧痕分析、残留澱粉分析の実施について、めどをつけることができた。また、霊井出土土器と同年代の日本の資料を日中の研究者が同時に観察することによって、当該期についての共同認識をもつことができた。 このほか、これまでの調査成果について、INQUA名古屋大会、北アジア調査研究報告会等で報告することができたほか、河北省、山西省、黒龍江省などにおける関連遺跡の調査状況の視察、出土品の観察などを実施することができ、その成果を蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本となる霊井出土石器の整理作業を進めるとともに、連携研究者、研究協力者との連携を図り、霊井ならびに関連遺跡出土の土器付着物の年代測定、同位体分析、土器の圧痕分析、磨石・磨盤の資料痕・残留澱粉分析等の多角的な調査を行ない、霊井ならびに関連遺跡の実態解明を進める。 華北地域ばかりでなく、中国東北部、華中・華南地域、韓国、ロシア、日本列島などの周辺地域における関連資料の調査と収集を進め、グローバルな視点での研究を進めたい。
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Research Products
(8 results)