2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Conparative Leagal Study on Comprehensive Manegements of River basins and Utilization of Water Resources
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15H05175
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
奥田 進一 拓殖大学, 政経学部, 教授 (60365864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 淳 創価大学, 法学部, 教授 (30267489)
守田 優 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70210177)
柳 憲一郎 明治大学, 法務研究科, 専任教授 (80132752)
黒川 哲志 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90268582)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドイツ水法 / フランス水法 / EU水枠組み指令 / 流域区 / 台湾水利法 / 台湾河川法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、ドイツ連邦共和国、フランス共和国および台湾における調査を行い、それぞれ成果を得た。ドイツでは、デュッセルドルフ北西にあるゾースト市郊外のメーネダムを管理するルール水組合においてヒアリングおよびダム施設の視察を行った。水組合は、自治体と事業者等からなる公共組合であり、一括した水供給と水質保全について汚濁負荷量に応じた納付金による運営を行っている。慣習法的な同組合の運用手法は、2000年のEU水枠組み指令に基づく2002年の連邦水法改正に大きく反映され、水利権分配などについては、同法にその慣習法が取り込まれたことが明らかとなった。 フランスでは、1964 年の「水分配および汚染防止体制に関する法律」により、流域における水資源管理の原則が示され、1992 年の「水環境法」により水の総合的管理のために流域レベルでの計画策定等が導入された。また、2000 年の欧州水枠組み指令を受けて、2006 年に「水環境法」が、環境法典およびその他の関係法の水行政に関する部分を整理統合する形で制定された。流域管理に関する全体的な方針は流域管理計画(SDAGE)に定められ、小流域においては、利用や開発、保全などの計画を定めた流域管理方針(SAGE)に定められている。 台湾では、現地の知己の研究者からの誘いを受けて、水利施設等の視察およびヒアリング等を行うことができた。これらの研究調査活動を通じて、台湾の現行水利関係法が、日本統治時代の日本法の影響をいまなお受け、ときには現行の日本法から法改正や紛争解決のヒントを得ている実態を了知することができた。現在、台湾の水利関係法(水利法および同施行細則、河川法および同施行細則)の翻訳作業を完了しており、これらと日本法との異同を照合することで、台湾法から日本法への水利分野での交流を可能にする基盤づくりも実施できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたドイツとフランスの流域管理に関する法制度や実情だけでなく、台湾における水利法および河川法の運用実態を調査する機会に恵まれ、その意味では予想以上の成果を上げること上げることができたといえる。しかし、ドイツとフランスに関しては、法学分野に精通した通訳者の手配が十分にできなかったこともあり、重要な事項の聞き取りが十分にできなかった。たとえば、ドイツでは、ルール水組合の慣習法的な手法が、EU水枠組み指令を受けて改正された2002年連邦水法に改正されたことが判明したが、どの部分でどのように取り込まれたのかは不明なままであった。また、フランスでも、19世紀から実施されてきた上下水道事業の民間委託が、結果として再公営化に向かった経緯について、流域管理計画と水事業者とのコンセッション契約に問題があることが判ったものの、具体的に同契約のどこに、どのような問題点が存在するのかについては不明なままで帰国せざるを得なかった。これらの点は、本研究の進め方のうえでの問題点として位置付けることもでき、台湾における予想外の調査が実施できたことと相殺して、「おおむね順調に進展している」という進捗状況を以て自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、イギリスの水管理システムとフランスにおける上下水道事業の再公営化に係るコンセッション契約の問題点について、関係機関に対するヒアリングを中心に推進する予定である。昨年度の反省点として、法学分野に精通した通訳者を予め手配することを念頭に置く。イギリスに関しては、英語が堪能で。かつイギリスへの留学経験のある研究者に研究協力者として参加してもらうことが確定しており、フランスに関しても、フランス大使館を通じて、現地での国際会議の通訳歴30年というベテランを紹介してもらった。 また、最終年度ということもあり、最終報告書を兼ねる成果物の作成も同時に進めて行く予定である。
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Research Products
(4 results)