2015 Fiscal Year Annual Research Report
蘭州・黄河および無錫・太湖周辺での多環芳香族類の生成・異性化・蓄積プロセスの解明
Project/Area Number |
15H05215
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Research Institution | Kumamoto Industrial Research Institute |
Principal Investigator |
永岡 昭二 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主幹 (10227994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 博隆 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (10151648)
佐藤 崇雄 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主任 (80467977)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境分析 / 環境技術 / 反応・分離工学 / 水資源 / 分離材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的に最適化された分子形状識別型HPLC分離剤の選定を行う。具体的には、申請代表者らが開発してきた、分子配向による弱い相互作用の増幅原理を適用し、多環芳香族類(PAHs)の電子状態(構造異性、幾何異性、立体異性等の分子形状やハロゲン化度等に顕著に依存する性質)に敏感に応答する分子形状識別部位の分子設計・合成を行い、PAHsの高精度分析を実施した。甘粛省蘭州市の黄河流域と江蘇省の大湖の無錫市近郊を中心に、定期的に水質サンプリングを行い、PAHs(とくにベンゾピレンの構造類似体)のHPLCによる検出および高精度の成分分析を行った。移動相の極性や分析温度の調整だけでは十分な分離度が達成されない場合は、原子移動ラジカル重合型および交互共重合型有機相において、側鎖アルキル基の長さをC22およびC30に増加させ、HPLC条件下での側鎖の結晶化(トランスフォーム化)を促進させた フィールド調査の基点は、甘粛省蘭州市および江蘇省無錫市とする。蘭州市においては、海外研究協力者(蘭州化学物理研究所のH.Qiu教授)に依頼して事前に選定した中山橋および銀雛公園周辺の水質をサンプリングした。蘭州化学物理研究所において有機物の抽出・濃縮操作を行った。江蘇省無錫市においては、D. Wei副教授に依頼して、大湖周辺の水質をサンプリングし、江南大学において、同様な操作を実施した。抽出サンプルの分析については、H.Qiu教授、D. Wei副教授所有のHPLCシステムを用い、プレ評価を実施した。このプレ評価の結果を元に、サンプリングエリアの決定や、水質の採取方法を確定させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蘭州市においては、海外研究協力者(蘭州化学物理研究所のH.Qiu教授)に依頼して事前に選定した中山橋および銀雛公園周辺の水質をサンプリングした。蘭州化学物理研究所において有機物の抽出・濃縮操作を行った。江蘇省無錫市においては、D. Wei副教授に依頼して、大湖周辺の水質をサンプリングし、江南大学において、同様な操作を実施し、ほぼ予定どおり、進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査は、初年度の結果を踏まえ、2年目と4年目に年2回ずつ、3年目に年4回を計画している。基本方針としては、評価の精度を上げることを目的としているが、3年目については、季節変動性に焦点を当て、蓄積プロセスの解析に結び付ける予定である。サンプリングエリアについては、蘭州市近郊だけでなく、より黄河上流域の劉家峡水庫周辺にまで拡大して行い、約100kmエリアでの汚染マップの作成を試みる。また、大湖周辺調査では、蘇州、西山、湖州市、さらには、揚子江流域まで拡大して行い、同様に汚染マップの作成を試みる。 最終的にはもっとも高濃度でPAHsが検出されるエリアを選定し、緻密なモニタリングを実施する。
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