2016 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア地熱発電計画への住民合意円滑化のための情報周知戦略の構築と現地調査
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15H05228
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 史武 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00414376)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インドネシア / 地熱発電 / 住民合意 / 情報源 / 理解度 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、地熱発電やバイオマス等の再生可能エネルギーに関する新聞記事やWeb上での記事について、その理解度を分析した。既往の理解度指標を使用した場合、新聞記事やWeb上での記事はそのほとんどが「難しい」と判断された。一方で、インドネシア現地の大学生を対象にしたアンケートを実施したところ、新聞記事およびWeb上での記事の両者において「理解しやすい」と答えた割合が過半数を超えていた。 既往の理解度指標では現実の理解度を反映しきれていないことを見出したことから、まず、記事中の文章についてその特徴をテキストマイニングの手法を用いて分析した。動詞、形容詞、副詞等の文法的語句の構成割合に大きな差はなかった。専門用語の頻出割合は、記事の内容によって大きく変動した。記事の内容と言語学的特性(文章数、単語数など)で関連性が現れるか検討したが、内容と言語学的特性に強い相関性は見いだせなかった。 アンケート調査から得られた理解度(4段階でスコア化)と言語学的特性について相関性を検討したところ、文章数、接続された文章数、パラグラフ数の3つの項目について特に強い相関性を示した。この相関性の強さは、大学生の専門性(理学、工学、経済学、言語学)に影響を受けていることを見出した。上記の3項目のみを使用して理解度指標を構成したところ、アンケート結果から得られた理解度を良く再現できることを確認した。 改良した理解度指標は、新聞記事およびWeb上の記事を「理解しやすい」と判断しており、住民の理解度向上に向けて文書の簡易化等の処置は必要がないと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポスドク研究員として雇用予定であった博士学生の博士号取得が2016年12月まで遅延したため、Tegal市などの現地調査(現地でのアンケート調査)が当初狙っていたレベルにまで達していない。よって、研究進捗の点でやや遅れていると判断した。 一方で、ジャカルタ市やジョグジャカルタ市など、地熱源から離れているが再生可能エネルギーへの住民意識が比較的高い大都市圏での調査は当初の予定以上に進捗させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポスドク研究員を2017年1月より雇用開始しており、本研究に集中して取り組む体制を整えることが出来た。インドネシア側研究パートナーについては、本研究に興味を持ち、共同研究を行う研究者が複数名見出せたことで、当初の予定よりも拡大して現地調査を実施する体制に移行することができた。 以上より、翌年度については拡大した現地調査で遅延分をカバーし、当初の狙い通りの研究成果を達成したい。
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Research Products
(6 results)