2016 Fiscal Year Annual Research Report
稲作に対する根寄生雑草ストライガの脅威の検証と抵抗性・耐性機構の解明
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15H05248
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉本 幸裕 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10243411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 靖雄 神戸大学, 農学研究科, 助教 (90283978)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストライガ / 根寄生雑草 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
世界のイネ・コアコレクション69品種のうち27品種について、ストライガに対するプレアタッチメント抵抗性である発芽刺激物質の生産性を評価した。イネ発芽種子をグロースチャンバー内で2週間にわたり培養液中で水耕栽培した後、水道水中で1日水耕した液を酢酸エチルで処理した。酢酸エチル抽出物を水耕液に対して10倍に濃縮して、コンディショニングしたストライガ種子に与えた。その結果、殆ど発芽を誘導しない品種から、発芽率が35%を越える品種まで見出され、品種間差が大きいことが判明した。平成27年度に評価したポストアタッチメント抵抗性と平成28年度に得られたプレアタッチメント抵抗性との間に相関は認められなかった。 液体培地中で無菌的に増殖するストライガ培養根を確立した。それを宿主植物の根系に接種した結果、発芽種子には及ばないものの寄生を確立することも確認できた。しかし、培養根に含まれるABAを分析した結果、寄生を確立した幼植物の10分の1程度であり宿主の2倍程度の濃度しか含有しておらず、宿主へのABAの移動を検証する材料としては適当でないと考えられた。物質は宿主からストライガに輸送されることが一般的で、その逆を示す実験結果は報告されていない。そこで、ストライガから宿主への物質移動を検証する指標とするべく、培養根の代謝産物の検索に着手した。 ストライガの独立培養個体ではストライゴラクトンの生産は確認できなかったが、ストライガがストライゴラクトン生合成能力を欠失しているかどうかは不明である。ストライガ発芽種子をストライゴラクトン欠損のイネd変異体に接種すると宿主の分げつが減少する現象を見出した。変異体宿主のストライゴラクトン欠損をストライガが相補していることを示唆する興味深い現象と考えられるので、平成29年度に詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度報告書で本研究の進捗がやや遅れている理由として挙げた、スーダンでの栽培試験について、地球規模課題対応国際科学技術協力事業に採択されたことにより、再開する見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
ストライガの寄生に対する感受性の指標は、プレアタッチメントとポストアタッチメントに大別される。平成27年度に実施したポストアタッチメントに関わる評価、および、平成28年度に実施したプレアタッチメントに関わる評価の結果を総合して、発芽を誘導しにくく寄生されにくい抵抗性候補品種(ARC11094やVandaran)、発芽を誘導しやすく寄生されやすい感受性候補品種 (BingalaやShwe Nang Gyi)、さらには発芽を誘導しやすいが寄生されにくい品種(ARC5955やDeng Pao Zhai)、発芽を誘導しにくいが寄生されやすい品種(Urasan 1やDianyu 1)など、異なる特性を有する様々品種が見出された。これらをストライガ汚染土壌で栽培試験に供して、実験室条件での評価と栽培条件での評価の相関を検討し、評価の妥当性を検証する。また、先に選抜したUmgar、NERICA4、NERICA5含めて継続して栽培試験に供し、抵抗性、感受性の安定性を検証する。
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Research Products
(6 results)