2017 Fiscal Year Annual Research Report
稲作に対する根寄生雑草ストライガの脅威の検証と抵抗性・耐性機構の解明
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15H05248
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉本 幸裕 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10243411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 靖雄 神戸大学, 農学研究科, 助教 (90283978)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストライガ / 根寄生雑草 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
ストライガの寄生に対する抵抗性は、プレアタッチメントとポストアタッチメントに大別される。イネの遺伝的多様性を幅広くカバーする世界のイネ・コアコレクションについて、平成27年度に実施したライゾトロン法によるポストアタッチメント抵抗性に関わる評価に続いて、平成28年度から29年度にかけて、プレアタッチメント抵抗性の評価を実施した。コアコレクションに含まれる69品種に、ストライガ種子の発芽をほとんど誘導しない抵抗性の高い品種から、80%以上誘導する抵抗性の低い品種まで、大きな品種間差を確認した。 平成29年度はさらに、特徴的な抵抗性を示した8品種を選抜し、ストライガ種子を混入した土壌を詰めたポットで栽培し、ストライガ出現数を指標として抵抗性を評価した。コントロールとして抵抗性が高いことを見出しているUmgarを用いた。その結果、プレアタッチメントおよびポストアタッチメント抵抗性がともに高いARC 11094とプレアタッチメント抵抗性が高いBleiyoが、ポット栽培試験で高いストライガ抵抗性を示した。 並行して、ストライガがストライゴラクトン(SL)生合成能力を欠失しているかどうかの検証も進めた。前年度に見出した、ストライガ発芽種子をSL欠損のイネd変異体に接種すると宿主の分げつが減少する現象から、変異体宿主のSL欠損をストライガが相補している可能性が考えられた。現象は再現されたが、イネd変異体には発芽刺激活性は認められなかった。一方、d変異体を宿主として生育させたストライガ個体には発芽刺激活性が認められた。既知のSLに対して確立した方法に従ってストライガ個体抽出物を粗精製し分析したが、発芽刺激物質に関する有意な情報は得られなかった。引き続き、ストライガが宿主に依存しないで生産する発芽刺激物質を追求していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験室におけるプレアタッチメント抵抗性、ポストアタッチメント抵抗性の評価は予定通り終了した。それに基づいて選抜されたストライガ抵抗性イネ候補品種のスーダンでの栽培試験も始まっている。加えて、宿主に依存しないでストライガが生産する発芽刺激物質の存在を見出し、活性本体の探索にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本課題の最終年度に当たるため、選抜したストライガ抵抗性イネ候補品種の栽培環境におけるパフォーマンス、および、すでに見出している感受性品種について継続して栽培した場合の感受性の昂進を検証し、ストライガ感染地域へのイネの導入に予想される懸念に対して科学的証左を与える。また、ストライガが生産するストライガ種子の発芽刺激物質の構造を追求し、ストライガの宿主認識機構の一つである発芽刺激物質への応答の謎に迫る。
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Research Products
(5 results)