2015 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ半島中央部における極端現象を対象とした農業被害関数の推計と気候変動予測
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15H05254
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 尚 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (40532156)
沖 一雄 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (50292628)
牧 雅康 東北工業大学, 工学部, 准教授 (50375391)
白川 博章 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50393038)
本間 香貴 京都大学, 農学研究科, 講師 (60397560)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気象災害 / 農業生産 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は各サブグループにおいて農業被害推計のための基礎データ収集および予備調査を行った。以下に概要を示す。 <サブテーマ1>現在気候・将来気候における降水量の極値分析では、メコン川委員会が集積している水文・気象データを収集し、過去の洪水・渇水事象の抽出を行った。東北タイにおいては41箇所の観測データが使用可能であった。<サブテーマ2>リモートセンシング技術を用いた脆弱性の空間分布推定では、タイ・ラオス両国の農林省において農業統計データを収集した。東北タイにおいては1981-2013年のデータが、ラオスでは1975-2014年のデータが利用可能であった。また、コンケン県周辺農地において収量調査を行い、分光スペクトルとの相関を評価した。<サブテーマ3>過去の事象における農業被害推計と農村における生計戦略分析では、9月に灌漑農家を対象とした予備調査を行った。2015年は20年に1回程度の大渇水が生じており、異常気象時の農家の対応について9月に予備調査を行った。乾季作の状況については、栽培時期を考慮して年度を跨いだ5月に調査を行うこととした。<サブテーマ4>水・作物生産統合モデルによる将来予測と効果的な適応策の検討では、これまでに開発した水・作物生産モデルの改良を行うため現地調査を行った。従来のモデルでは水・温度・窒素ストレスが考慮される構造となっていたが東北タイでは塩類集積が収量制限要因となっており、土壌の塩濃度がコメ収量に及ぼす影響を評価するため現地にて収量調査と土壌分析行い応答関数を求めた。また、サブテーマ2と協力して、リモートセンシングによる塩類集積土壌の広域評価に向けたデータ収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各サブテーマについて、当初計画どおりに現地調査を行い基礎データの収集と分析を行った。2015年は20年に1度の大規模な渇水が生じており、本研究がターゲットとしている極端現象時の現業機関や農家の対応について貴重なデータが収集できた。よって、本研究はおおむね順調に進展しているものと評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータをもとに、気象条件や土壌条件などの農業生産阻害要因を抽出し、それらを変数とした農業被害関数の推計を行う。また、過去20年間の農業生産および降水量データから農業被害額を推計し、実際の農家世帯収入に及ぼす影響割合を評価する。
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Research Products
(10 results)