2015 Fiscal Year Annual Research Report
タンザニア水稲の水利用効率改善技術と農民間普及アプローチによる技術普及法開発
Project/Area Number |
15H05265
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荒木 英樹 山口大学, 農学部, 准教授 (90346578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 圭佑 東京農工大学, 農学研究院, 准教授 (20432338)
坂口 敦 山口大学, 農学部, 助教 (50747558)
関谷 信人 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80456590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 稲作 / タンザニア / 多収化 / 節水 / 用水量 / 水利用効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,タンザニア連邦共和国の稲作において,用水量を低減する「節水」と用水量に対して収穫量を高める「多収化」で水利用効率(=収穫量/用水量)を改善する技術を開発すると同時に,農民間普及を活用した新しい普及法も開発することで,稲作コミュニティー全域の水利用効率の改善を目指す.稲作生態系(灌漑水田,天水田)ごとに節水と多収化の技術を確立し,シミュレーションモデルにより個体/圃場/コミュニティーのレベルで節水効果を評価することも目的とする. 2015年度は,2期にタンザニアに渡航し,先方のカウンターパート(JICAプロジェクト専門家 大泉暢明氏およびキリマンジャロ農業訓練センター(KATC) シャヨ・シリル氏らと研究開始の準備を進めた.9月の渡航では,荒木と坂口がキリマンジャロ県モシ市にあるKATCを訪れ,現地での稲の栽培状況や試験可能な圃場の選定を行った.また,KATC周辺のローアモシ灌漑地区では,用水流量などが測定可能かどうかを評価するために,主要箇所で用水路や頭首工の整備状況や使用状況,並びに機器設置の可能性(主として盗難を回避できるかどうか,流量測定が可能な状態に維持されているかどうか)を調査した. 2月の渡航では,同月からKATC内の圃場で開始した栽培試験(灌漑稲多収化をめざした施肥試験,並びに同じく多収化をめざした栽植密度試験)を視察した.また,6月から開始予定である節水栽培試験の試験予定圃場を確認し,試験開始までの間に必要な用水路の改修工事等の指示を行った. 天水稲に関しては,2年間の収量調査が終わり,収量が低い原因が穂数が少ないためであることが明らかにできた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年は11月中に多収化栽培試験を実施する予定であったが,同時期にカウンターパートの組織評価が重なり,栽培準備を進めることができなかった.そこで,2月上旬からの栽培試験に切り替え,試験を開始した.また,節水試験では,試験予定であった圃場の潅水施設が脆弱で十分な流量が得られず,用水量を把握するために必要な流量計を設置することができないことが判明した.そこで,水口の枡を改良することにより四角関を設置して流量が測定できるよう改良を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は,前年度に開始した栽培試験の収穫調査を行い,タンザニア水田における多収技術の一端として,適切な窒素肥料管理方法や栽植密度を明らかにする.また,6月から葉節水栽培試験や超多収化栽培試験(土壌改良など進め多収の制限要因を特定する)も開始する予定である.タンザニアでは周年的に稲を栽培することが可能であるため,上記の試験は年度内に最低2回は実施する. 天水稲に関しては,11月以降の栽培期において,穂数が少ないという収量制限要因を改善するような栽培方法(種の厚播き,発芽率を高める播種作業の高精度化など)を試験し,その効果を評価する.また,前年までの研究成果を論文として公表できるようとりまとめを進める.
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