2015 Fiscal Year Annual Research Report
伝統薬のサステイナビリティと現地還元を指向したアジアの薬用植物の調査研究
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15H05268
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小松 かつ子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (50225570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 シュウ 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (20377360)
當銘 一文 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (80563981)
東田 千尋 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (10272931)
長田 拓哉 富山大学, 大学病院, 講師 (40303242)
数馬 恒平 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 客員助教 (70552446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬用資源学 / 生物活性 / 痴呆 / 癌 / 国際協力 / 骨砕補 / 車前子 / 山椒 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.学術調査:モンゴルで防風、黄ゴン、秦ギョウ、中国四川省及び湖北-湖南-江西省で秦ギョウ、骨砕補、車前子の資源調査と市場調査を行った。 2.多様性解析 (1)秦ギョウ:四川省産Gentiana tibeticaのITS配列との比較から、甘粛省産市場品は同種、四川省産市場品は同種とG. crassicaulis(Gcr)の交配植物に由来することを明らかにした。同属9種及び市場品32点の全てがgentiopicrosideを主成分とし、G. macrophylla、G. straminea、Gcr、G. dendrologi、G. officinalisは主要5成分の総含量が高かった。(2)骨砕補:市場品13点の熱水及びメタノール抽出エキスをHPLC-UV法で分析した結果、10点はほぼ同様の成分プロファイルを示しDrynaria fortunei由来と推定されたが、広西産市場品は明らかに異なった。 3.薬理作用 (1)抗認知症作用:マウス大脳皮質神経細胞におけるAβ(25-35)誘発軸索萎縮に対して再伸展作用を示した骨砕補の熱水抽出エキスから5化合物を単離、同定した。これらの内(2S)-neoeriocitrin及びcaffeic acid 4-O-glucosideが有意な軸索再伸展作用を示した。エゾウコギ葉から単離したトリテルペンサポニン9化合物も有意な軸索再伸展作用を示した。(2)抗アロデニア作用:パクリタキセル腹腔内投与翌日より車前子の熱水抽出エキスをマウスに1日1回13日間経口投与した結果、末梢神経障害性疼痛が抑制された。エキスを分画後、同実験を行った結果、20%メタノール溶出画分に抑制活性が集約された。含有される3化合物(i.p.)の内aucubinが濃度依存的な疼痛抑制活性を示した。(3)抗癌作用:大建中湯は胃癌細胞株に対し有意な細胞増殖阻害活性を示し、構成生薬のうち山椒エキスが濃度依存的な強い阻害活性を示した。胃癌モデルマウス及び腹膜播種転移モデルマウスに大建中湯を4週間経口投与した結果、腫瘍重量の減少及び腹膜播種数の有意な減少が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画を変更したが、以下のとおり関連研究を進行させた。 ・骨砕補の基原植物等が入手できず遺伝子解析を行えなかったが、これに代えて市場品の成分研究を行った。 ・モンゴル産防風と黄ゴンの多様性解析研究に関しては研究材料の同定に留まった。これに代えて、中国産防風と偽品の華山前胡を鑑別するためのITS配列に基づくARMS法を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
・骨砕補については中国の共同研究者と緊密に連絡をとり、平成28年度に湖南省で再度資源調査を実施する。 ・モンゴル産生薬に関する多様性解析研究では、研究を行う人的体制を整える。
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Research Products
(24 results)