2015 Fiscal Year Annual Research Report
有鉤条虫の撲滅を目指した流行調査と土壌伝播蠕虫の網羅的検出法の開発
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15H05273
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
迫 康仁 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40312459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
柳田 哲矢 山口大学, 獣医学部, 准教授 (40431837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有鉤嚢虫 / 疫学調査 / 血清検査 / DNA検出検査 / インドネシア / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らのグループは十数年にわたり致死率の高い寄生虫症である有鉤嚢虫症についての流行調査をアジア(インドネシア、タイ)で実施してきた。その成果として、世界に先駆けて『有鉤嚢虫症患者・患畜と有鉤条虫症患者が共住している希有な地域』を発見し、有鉤嚢虫と有鉤条虫の伝播経路に関する包括的な研究が初めて可能となった。 本研究は、『有鉤条虫症の迅速高感度な検査法の開発』、『住環境の衛生度の指標である土壌伝播蠕虫の網羅的検出法の開発』、『それらを用いた流行調査』を基盤として、『どのようにして有鉤嚢虫症がそれらの地域で風土病として定着しているのか』の解明を行い、有鉤嚢虫症の撲滅を目指したコントロール方法を確立することを目的としている。 平成27年度は、インドネシア・バリ島でヒトならびにブタの有鉤嚢虫症疫学調査を実施した。これまでの実績により、バリ島には無鉤条虫と有鉤条虫が分布していること、バリ等の北東部に位置するカランガスム県では、ヒトとブタとの間で有鉤条虫の生活環が維持されていることが明らかとなっている。今回も、カランガスム県の調査地を中心に疫学調査を実施した。具体的には、調査地域住民に対する聞き取り調査や糞便検査を実施すると共に、同地区で飼育されているブタならびにイヌより血清を分離し、我々が開発した有鉤嚢虫症免疫検査法を用いて抗体陽性の有無を調べた。また、抗体陽性であった家畜は、購入後剖検を実施した。今回は、有鉤嚢虫症を疑診するような免疫検査の結果は得られなかった。しかしながら、きわめて弱い抗体反応を示した家畜に関しては、免疫検査の評価のために剖検を実施した。その結果、有鉤嚢虫に近縁な種である細頸嚢尾虫が感染している見いだすことができた。さらに、LAMP法に基づく簡便なDNA検出法の開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初の予定通り有鉤嚢虫症やテニア症に関する疫学調査をインドネシア・バリ等で実施することができた。また、マルチプレックスLAMP法に基づくヒトテニア科条虫の簡便でかつ高感度な鑑別DNA検出法の開発にも成功した。以上より、研究全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシア・バリ島における疫学調査を継続して実施する。具体的には、調査地域住民に対するアンケート調査、同意を得られた住民より分離した血清を用いた血清検査、糞便検査によるテニア条虫ならびに土壌媒介性蠕虫の検出、家畜の血清検査、マルチプレックスLAMP法の評価、土壌媒介性蠕虫の採集ならびにDNA検出法の開発を実施する。
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Research Products
(2 results)