2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of impact of 'evidence-based midwifery care' on maternal and neonatal outcomes
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15H05302
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松井 三明 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 准教授 (00285115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 真貴子 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (30459672)
竹原 健二 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 政策科学研究部, 室長 (50531571)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学的根拠に基づいた医療 / 助産ケア / 医療介入 / 新生児仮死 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに行ったプノンペン市内第1次医療施設9カ所の保健センターで、ベースライン調査として分娩の直接観察を304例実施した。その結果、低リスクの産婦から出産した児であっても、臍帯動脈血pHが7.20未満のアシドーシスの所見を示す新生児が20.5%と比較的多いこと、分娩第2期に「無益あるいは有害であることが科学的に示されている医療介入」の実施が比較的多いこと、さらに基本的に行うべき胎児心音聴取、陣痛強度と間歇の把握が十分に行われていないことが明らかとなった。基本的ケアの実施とアシドーシスとの間に関連性は見られなかったが、上述の胎児心音聴取は実施回数0回が68%、1回が16%と、大半(84%)の分娩で適切に心音聴取がされていないためと考えた。 また産婦での有害事象として、第3度の腟会陰裂傷が13%、第4度の腟会陰裂傷が1%、子宮頸管裂傷が3%と、重度の裂傷が17%に発生していた。これも低リスクの産婦の分娩アウトカムとしては異常と考えられる。 これら、端的に分娩進行中の母児の状態が把握されていない、という結果を踏まえて、より基本的なケアの提供をすることを、科学的根拠に基づく医療・ケアの提供と併行してできるようになるよう介入計画を策定した。この策定のために、カンボジア国内で分娩介助の研修に用いられているテキストおよび卒後研修コースをすべて確認し、そこに記載されている内容を確認した。一部の内容には、テキスト間またはコース間で齟齬があったり、またはテキストの内容そのものに最新の科学的根拠が反映されていないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第1年次に行った直接観察のデータから、前述の通り介入計画の再策定を行った。その過程でテキスト間の齟齬と、テキストの科学的根拠の欠落事項を確認し、さらに内容を適切なものに調整する作業をカンボジア保健省と行った。その際、カンボジア語のみで作成されたテキストが存在すること、新たに保健省が策定したガイドラインが発効されたことから、カンボジア保健省が主宰するテクニカルワーキンググループで本研究の介入内容について承認を得る必要があった。 これらのために研究の実施が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
保健センターレベルでの助産ケア改善のために行う介入を1週間のパッケージとして、その主な内容を、前述のように胎児心音の聴取と陣痛の計測に基づく分娩進行の把握とした。同時に過去に策定済みの「科学的根拠に基づく女性と子どもに優しい出産ケア」ガイドライン等を基に改定した「保健センター助産師研修カリキュラム」に基づいて構成した。介入群に対してこの研修を提供し、その後のスーパーヴィジョンと組み合わせて実施することで、対照群との相違を測定することが今年度の実施内容である。
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