2015 Fiscal Year Annual Research Report
軟体アクチュエータを用いたスポーツ人体ファントムの開発と筋骨格の再建に関する研究
Project/Area Number |
15H05320
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新山 龍馬 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (00734592)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソフトアクチュエータ / 筋骨格ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人間の筋骨格身体を再現し得るスポーツ人体ファントムを、人工筋肉アクチュエータを用いた生物規範ロボットによって実現することを目指している。これまでは、生体筋のような柔軟で複雑な形状のアクチュエータの実現は難しい課題だった。有機的形態を備えたこれまでにない軟体構造ロボットの試作開発は、スポーツ・健康分野への貢献につながる。
平成27年度は、主として生体筋の形状を模倣した軟体アクチュエータの開発に取り組んだ。ソフトアクチュエータとしてはマッキベン型空気圧人工筋が知られているが、従来のアクチュエータでは有機的形状を実現できない。そのため、生体筋のような複雑形状を実現する新型アクチュエータの開発が本研究の要となっている。この課題を解決するため、パウチモーターと呼ばれる形状自由度の高いシート状の空気圧アクチュエータを採用し、生体筋の形状に成形した。また、外形の模倣のみだけでなく、羽状角(筋繊維の角度)を模擬し、バイオメカニクス分野で知られている羽状筋の特性と類似した長さ張力特性を得た。また、筋腱複合体の弾性要素を模擬が可能であることを示した。
さらに、開発した有機形状の薄型軟体アクチュエータを用いて、ヒトの腕の解剖学的構造を模擬するロボットアームを試作した。試作機では、機能解剖学に基づき、人工筋肉の起始と停止の部位を考慮してアクチュエータの配置を行なった。上腕二頭筋および上腕三頭筋を人工筋肉アクチュエータで模擬し、肘ジョイントの屈伸ができることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シート状のソフトアクチュエータで生体筋の外形を模擬した人工筋肉アクチュエータの開発が進展した。軟体アクチュエータの実現は本研究の主要部分である。一方で、当初の計画ではアクチュエータの形状設計に断層画像を用いる予定であったが、不鮮明な像からの形状抽出が困難であることが判明したため、当初の計画以上の進展とはいえない。ロボットアームの試作によって、アクチュエータ開発にとどまらず目標の生体規範ロボットの開発にも着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次の課題として、開発した筋肉型軟体アクチュエータを用いた筋骨格人体ファントムを開発する。アクチュエータの形状設計については、超音波断層画像など解像度の低いデータを用いず、CT画像などから分離抽出された筋の3Dモデルを用いる方針である。筋腱複合体の精緻な模擬のためには、収縮要素のみでなく、膜組織を含む弾性要素の働きについてより深い考察を行ない、アクチュエータの機能を改良することが必要となる。運動中の生体筋の観察などを通じて、筋の動態に関する知見を収集する。
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