2015 Fiscal Year Annual Research Report
最先端X線顕微鏡を駆使した微生物による海洋地殻の酸化風化機構の解明
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15H05330
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
光延 聖 愛媛大学, 農学部, 准教授 (70537951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微生物 / 鉄 / XAFS / STXM / バクテリア / 玄武岩 / パイライト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画通り2014年に設置した現場培養装置の第1回目の回収航海および回収試料の分析を実施した。回収航海は、2015年4月下旬にJAMSTEC研究航海によって実施した。海況にも恵まれ無人探査機を潜航させ、現場培養装置をベヨネース海丘付近の海底2ヶ所(熱水域、非熱水域)から無事回収することができた。5月から年度末までは、培養装置から回収した試料(玄武岩、パイライト、鉄粉)のバルクXAFS分析、マイクロXAFS分析、STXM分析、微生物群集解析等の分析を順次おこなった。 本年度はとくに反応性が高い固体基質であり、変質が進みやすいと予想されたパイライト試料の分析に注力した。パイライト粉末のバルクXAFS分析の結果、含有鉄の10%程度はFe(III)に酸化されており、また表面敏感XAFSによる分析によって粒子表面部では90%程度が酸化鉄鉱物として存在していることが明らかとなった。酸化鉄鉱物の種類としては、フェリハイドライトなどの水酸化鉄鉱物が主な鉄鉱物であり、非晶質鉱物が多く含まれることが明らかとなった。 さらにナノスケールX線顕微鏡であるSTXMを用いて、反応場であるバクテリア-パイライト境界面における炭素、鉄の化学状態分析を実施した。その結果、境界面ではバクテリアは酸性多糖類を多く含む細胞外有機物を多く含むことがわかった。一般的に金属錯生成能を有する酸性多糖類の存在下ではパイライトなど鉱物の溶解性は増加するため、微生物は鉱物中に含まれる2価鉄などエネルギー物質を効率よく溶解させるユニークな機構を有することがわかった。鉄のSTXM分析の結果も炭素の結果と調和的な結果であった。 年度後半で実施予定だった微生物群集解析は、PCR用プライマーの選択検討などに時間を要したため、来年度初めから実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度中に実施する予定だった微生物群集解析が、PCR増幅用プライマーの選択検討などに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、回収航海も予定していないため、2015年度に回収した試料分析を完了させることに注力する。2015年度に分析することができなかった玄武岩試料分析に着手したい。また、X線分析以外にも微生物群集解析および電子顕微鏡解析を実施することで、微生物による風化プロセスの痕跡を多面的に明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Direct Detection of Fe(II) in Extracellular Polymeric Substances (EPS) at the Mineral-Microbe Interface in Bacterial Pyrite Leaching2016
Author(s)
Satoshi Mitsunobu, Ming Zhu, Yasuo Takeichi, Takuji Ohigashi, Hiroki Suga, Muneaki Jinno, Hiroko Makita, Masahiro Sakata, Kanta Ono, Kazuhiko Mase, Yoshio Takahashi
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Journal Title
Microbes and Environments
Volume: 31
Pages: 63-69
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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