2017 Fiscal Year Annual Research Report
自然発症メタボリック症候群モデルを用いたカロテノイドの新たな生体調節機能の解明
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15H05345
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
永島田 まゆみ 金沢大学, 保健学系, 助教 (30645510)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メタボリック症候群 / カロテノイド / インスリン抵抗性 / マクロファージ / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
身近な食品由来の抗酸化素材であるカロテノイドが有する抗炎症作用に着目し、独自に作製した炎症促進モデルを用いて、代謝疾患(糖尿病、メタボリック症候群、脂肪肝炎など)の病態基盤である慢性炎症やインスリン抵抗性に対する有用性や作用メカニズムの解明を目的とする。 トマトに含まれるカロテノイドであるリコピンの有効性について、食餌性肥満モデルを用いて検証している。これまでにリコピンは、摂餌性肥満によるインスリン抵抗性や脂肪肝炎、脂肪組織の酸化ストレスを抑制することを明らかにしてきた。今回、リコピンは、脂肪組織において、炎症性サイトカインやケモカインの発現を有意に低下させることや、形態学的解析から脂肪組織へのマクロファージ浸潤を減少させることが明らかとなった。マクロファージは、肥満によって誘導される慢性炎症の発症に深く関与することが報告されている。よって、リコピンとマクロファージの関係について明らかにしていく。 次に、慢性炎症を病態基盤とする代謝疾患における、カロテノイドの抗炎症作用の主たる作用臓器や作用点を検証するために、臓器特異的炎症促進モデルの解析を進めている。インスリン感受性の制御に関与するシグナルをマクロファージ特異的に欠失させたコンディショナルノックアウトマウスに摂餌性肥満を誘導し、インスリン負荷試験を行ったところ、インスリン抵抗性の増悪を認めた。また、このマウスの脂肪組織はコントロール群に比し、炎症性サイトカインやケモカインの発現が有意に増加しており、炎症が亢進していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満による脂肪組織の慢性炎症に対するカロテノイドの効果を解析し一定の研究成果を得た。臓器特異的炎症促進モデルとして使用するコンディショナルノックアウトマウスの代謝表現型解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
カロテノイドによるマクロファージの動態制御について免疫学的解析を行う。インスリン感受性の制御に関与するシグナルをマクロファージ特異的に欠失させたコンディショナルノックアウトマウスが臓器特異的炎症促進モデルとして有用であるか、引き続き代謝表現型解析を進めていくと共に、炎症細胞の動態制御についても解析を行い評価する。
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Research Products
(4 results)