2017 Fiscal Year Annual Research Report
皮質脳波・血液動態・脳表温の同時計測による高精度な脳外科疾患診断技術の開発
Project/Area Number |
15H05356
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山川 俊貴 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (60510419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 脳・神経 / 先端機能デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
脳外科疾患の診断や治療で皮質脳波は広く用いられており、血液動態の有用性も示されつつある。これまで申請者は、上記二つの指標を同時計測する頭蓋内留置可能な小型デバイスを開発した。また、てんかん発作を引き起こす脳の疾患領域において、発作時の局所的な温度上昇を明らかにした。これらから、脳表の温度や血液動態と電気的活動を、低ノイズな慢性留置環境下で計測できれば、より高精度かつ多面的な脳機能診断が可能となるとの着想を得た。そこで本研究では、皮質脳波・脳表温・血液動態を同期計測する埋め込み型デバイスを開発することで、てんかんや脳腫瘍、脳動脈瘤などの、診断精度が手術予後に直結する脳外科疾患への応用を目指し以下の研究を実施した。 6チャンネルのセンサ群を実装した計測デバイスを試作した。臨床用硬膜下ストリップ電極の大きさ・厚みを超えない慢性留置に適した形状および配線パターンのフレキシブルプリント基板回路を実現した。 ネコの光塞栓モデルを用いた試作デバイスの機能検証を実施し、皮質脳波、脳表温度分布ならびに血液動態を多チャンネルで同時計測することに成功した。得られた結果のモデルへのフィードバックによる計測精度向上を実施すると共に、実験動物への慢性留置下でデバイスの生体適合性・耐久性試験を行った。留置下のグリオーシス測温精度には大きな影響が予想されたが、ファントムや小形動物実験における検証結果を温度電圧モニタの校正に利用することで、長期留置による測温精度の劣化を補正する事に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度より繰り越した実施内容があったが、本年度に予定より早く実施することができ計画に影響はなかった。また、一部動物実験が省略可能であると判断したため動物福祉の観点から実施していないものがあり、申請内容にしたがって所望の研究結果が得られているので、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ストリップ型のデバイスは、神経機能異常(てんかん等)が原因の等方性または脳回単位での広がりをもつ病変の特定には有効だが、循環異常(脳梗塞等)を原因とする異方性の広がりをもつ病変の特定には、硬膜下グリッド電極のように平面的な計測を要する。そこで、平面基板上にグリッド状にセンサ群を配置したデバイスを試作し、大型動物において検証する。さらに、山口大学脳外科所蔵の臨床用NIRS装置との比較により、頭皮計測と脳表計測の差異から非侵襲診断の誤差要因を明らかにする。硬膜下に留置した提案デバイスにより頭皮からの近赤外光が遮断されるのを防ぐために、光伝搬モデルを硬膜・頭蓋骨・頭皮を含む多層モデル(Okada et al., Appl. Opt.,1997他)へと拡張し、非侵襲NIRS計測への影響を最小限にするデバイス設計・試作を行う。
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Research Products
(15 results)