2018 Fiscal Year Annual Research Report
Geneology of democracy in contemporary dance
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15H05377
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
越智 雄磨 愛媛大学, 法文学部, 講師 (80732552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化の民主化 / コンテンポラリーダンス / 作者の死 / ポスト・モダンダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コンテンポラリーダンスの歴史において「民主的」という価値基準がいかにして成立したかを考証したものである。研究対象は「文化の民主化」を綱領とした文化政策に後押しされて発展した1980年代以降のフランスのコンテンポラリーダンスである。1968年5月革命後に既存の権威や美学を疑う風潮とともに新しい時代の身体表現としてコンテンポラリーダンスは勃興したが、80年代に文化政策の支援対象となったことで、国内各地に国立振付センターが設立され、次第に制度に包摂されていった。そこで問題となったのがコンテンポラリーダンスの「アカデミー化」である。 コンテンポラリーダンスは、17世紀に設立された王立舞踊アカデミーに起源を持つバレエとは反対に、本来、自由かつ新たな実験的な創作を行うことに本分があったとされる。しかし、制度に包摂される過程で、ダンス作品の有様が固定化し、振付家とダンサーの間に明確なヒエラルキーが生じた点などが批判にさらされるようになる。このようにコンテンポラリーダンスが停滞が明確になった90年代半ばに現れたコンテンポラリーダンスの第二波が「ノン・ダンス」と呼ばれる潮流である。「ノン・ダンス」の世代の舞踊家達は、1960年代に誰もが対等に参加しうる「民主的な」ダンスを掲げたアメリカのポスト・モダンダンスを参照し、その創作方法や理念に大きな影響を受けていた。また、美学的には、五月革命期に発表されたロラン・バルトの「作者の死」等、旧来の芸術の作者の立ち位置に疑問を付した理論を応用して創作を行っていることが確認された。結果として、創造と批評の双方において、振付家とダンサー、あるいは観客との間に「民主的な関係」が築かれるか否かを基準として作品を評価する動向が生じ、多様性の称揚といった社会的課題と連動した新たなダンスの創造/評価の基準が確立されたことが確認された。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)