2017 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Research on the Islamic Politico-Theological Manuscripts
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15H05382
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
橋爪 烈 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10613862)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イスラーム神学 / イマーム論 / アラビア語写本 / スレイマニイェ図書館 / カリフ論 / ルトフィー・パシャ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アラビア語で記されたイスラーム政治思想書(特に神学書)の写本を、テキスト批判や書誌学、写本学の手法を用いて整理・分析し、現代の中東や国際社会に大きな影響を与えている「イマーム論」ないし「カリフ論」の学問的継承と発展の過程を明らかにすることを目的としている。具体的には、イスラーム思想における神学書写本の数量データを収集し、イマーム論の継承過程や需要などを数量的に把握することが目的となる。 29年度は夏季および春季休暇中にそれぞれ2週間、3週間弱、イスタンブル市に滞在し、同市にあるスレイマニイェ図書館において、神学書写本のデータ収集を行い、昨年度の積み残しであるAyasofya分類の300件、Suleymaniye分類の60件、Turhan V. Sultan分類の35件、Haci Selim Aga分類の212件、Besir Aga分類の104件、Fazil Ahmet Pasha分類の265件、Mehmet Asim Bey分類の179件、Ragup Pasha分類の136件、そしてCarullah分類の205件(途中)、計1496件のデータを収集した。 これまでの収集データ数1205件と合わせて、2700件のデータが集まった。スレイマニイェ図書館所蔵神学写本(アラビア語)の総数が約18000件であり、6分の1弱のデータの収集が完了したことになる。 加えて、収集データから、特に読まれ、また注釈等が付される主要作品の割り出しを行い、ナサフィーの『信条』や『大フィクフ書』バイダーウィーの『光の広がり』、イージーの『立ち処』などが多くの注釈書によって支えられる重要作品であることが分かってきた。 また本年は中東学会において、オスマン朝期のカリフ論の執筆者ルトフィー・パシャの論文について、その思想的背景を明らかにする学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集に関してはおおむね順調に進展していると言える。一日のノルマを30から50件と設定し、作業を行った。スレイマニイェ図書館は写本の電子化が行われているので、基本的にはパソコンの画面を通しての閲覧調査となる。そのため、ネットワーク回線の不調などのトラブルが発生すると作業が滞ることになるが、本年の調査機関においてはおおむね順調に進んだとみてよい。 収集したデータの整理・分析については作業中であるが、近々収集データのリストをホームページにアップロードする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集を継続するとともに、収集データの分析を行う。学会等で中間報告として発表を行い、その上で比較的写本の多い作品、あるいは注釈や補遺が数多く作成されている作品をピックアップして、それらの作品の時代的・地域的な広がりを把握することに努める。またイマーム論の内容についても、注釈が作成されるごとにどのような変化があるかについて、考察を行う。
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Remarks |
Researchmap内の資料公開ページにアップロードした作業成果の一部である。随時更新、新規データのアップロードを行っている。
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Research Products
(5 results)