2016 Fiscal Year Annual Research Report
サハラ南縁地域をめぐるモラル・エコノミー論的土地制度研究を通じた所有概念の再構築
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15H05385
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐久間 寛 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (80726901)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 民族学 / アフリカ地域研究 / 土地制度 / 所有 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年2~3月に行われたニジェール大統領選挙後の政情を慎重に検討した結果、 本年度は現地調査の実施を控え、研究成果の取りまとめと公開に専念するという方針をとることとした。以下、理論研究と事例研究に分けて実績を記す。 まず、モラル・エコノミー論をめぐる理論研究に関しては、5月、マクロな政治経済的変動のただなかにおけるモラルを含めたミクロな社会の様態を通文化的に考察するという狙いから、シンポジウム「体制転換の人類学」を東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)にて開催し、趣旨説明やコメントを担当した。その成果は全182ページの報告書にまとめ紙媒体および電子媒体を通じて一般公開した。また昨年度から継続しているカール・ポランニー研究をめぐっては、その成果を5月の日本文化人類学会研究大会および7月のアフリカ・モラル・エコノミー研究会において報告した。 つぎに、ニジェール西部を中心としたサハラ南縁地域をめぐる事例研究に関しては、10月には、アフリカ・モラル・エコノミー研究会において灌漑稲作の導入に由来する社会変容をめぐる報告を、12月には、ゴラン・ハイデン氏を囲んだ国際シンポジウムにおいて土地制度に関する報告(英語)を、1月には、ストラスブール大学にて、命名式に見られる生命倫理と土地制度を貫く贈与倫理の連関をめぐる報告(仏語)を、3月には、ジャン・パトリック・ハイス氏(チューリッヒ大学)を招いたAA研での国際ワークショップにおいて農耕文化をめぐる報告(英語)を行った。これら一連の研究成果を英語論文としてまとめ、日本文学人類学会の英文誌Japanese Review of Cultural Anthropologyを通じて公開した。また、ニジェール川の動物-人間関係をめぐる英語論文も2017年5月に日本アフリカ学会の学術誌『アフリカ研究』を通じて公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した理由から現地調査の実施を見合わせざるをえなかった反面、研究成果の公開を積極的に進め、編著書1、学術論文2(ともに英語、査読有)、口頭発表9(うち英語・仏語によるもの3)という実績が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニジェールの政情をふまえ現地調査実施の可否を綿密に検討するとともに、国外から研究者を招へいし国際的なシンポジウムを組織することで、協働的な研究成果の産出とネットワークの構築を目指す。
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