2017 Fiscal Year Annual Research Report
中学から高校への移行に注目した教育格差生成メカニズムの解明
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15H05397
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パネル調査 / 中学生 / 母親 / 教育期待 / トラッキング / 教育機会の不平等 / 格差・不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2015年に中学3年生とその母親を対象として行った調査の追跡調査を行った.ベースサンプルの分析結果から明らかになった課題,高校に進学していたら2年であること,2012年の高校生調査との比較が可能なことなどを踏まえて調査票を作成した(2017年4月開始,11月確定).そして,東京大学社会科学研究所研究倫理審査委員会の承認を受けた上で,2017年11月から2018年1月にかけて,郵送調査を行った.郵送調査の結果,2015年の調査で有効回答が得られた1,854世帯のうち,1,591世帯(85.8%)の回答を得た.ただし,母親のみ回収の世帯が92世帯,子のみ回収の世帯が3世帯あり,ペアで回収できた世帯は1,496世帯であった(80.7%). 調査票には,子どもの情報については進学した高校の情報や高校卒業後にどのような学校に進学したいか(学校名・学部学科名)などの項目が追加された.データの納品後はこれらの情報のクリーニングとコーディング(職業,高校偏差値,高校学科,大学偏差値など)を行った. 基礎的な分析として,中学時の進学を希望していた高校の偏差値・学科と教育期待・教育アスピレーションと実際に進学した高校の偏差値・学科と教育期待・教育アスピレーションの情報を用いた固定効果モデルによる分析を行った.その結果,普通科希望から専門学科への変化は,教育期待・教育アスピレーションを下げることが示唆された.この結果については,高校階層構造の影響をみるための因果分析として論文をまとめている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2波調査では,2015年の調査で有効回答が得られた1,854世帯のうち,1,591世帯(85.8%)の回答を得た.ただし,母親のみ回収の世帯が92世帯,子のみ回収の世帯が3世帯あり,ペアで回収できた世帯は1,496世帯であった(80.7%).しかし,調査回収率は十分高いといえる.また基礎的な分析からは高校トラック構造の因果的効果の影響が実証されており,当初目的の成果達成に必要なデータが揃ったといえる.特に問題がなくデータは回収され,価値の高いパネルデータを得ることができたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はデータのクリーニングや職業や学校に関するコーディングに2ヶ月ほど時間をかけ,データの質をより高めていく.また,教育社会学会と日本社会学会にて報告を行い,調査の意義およびパネルデータから得られた知見についての議論を行う.また成果については論文にまとめ,2018年度内の刊行を予定している. また年度終了時にはSSJデータアーカイブへのデータの寄託を予定している.またこのデータをもとに研究組織を立ち上げて,報告書や本の執筆などを行っていく予定である.
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Research Products
(7 results)