2016 Fiscal Year Annual Research Report
Methodology of Social Studies Education based on Communication Theory
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15H05403
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 伸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シティズンシップ / 社会科教育 / コミュニケーション理論 / 対話教育 / 公民教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コミュニケーション理論に基づく社会科教育論の構築を目指すものである。目的は、①教師(教科書)の考える「理想の社会像」を前提とする学習ではなく、「子どもの社会認識に基づく社会」を分析/検証/活用する社会科教育内容の開発、②授業を、子ども・教師・学級集団の相互作用システムが働く場と捉え、3者が機能する教育方法の開発(教育・学習方法の研究)である。 本年度は、主に三点に取り組んだ。第1は、前年度までに収集したコミュニケーション理論に基づく先駆的な社会科教育プロジェクトや実践モデルの分析を行い、分析結果を日本の社会科教育へ応用し、複数の授業をデザイン・実施し、本理論に基づく実践化の成果を検証した。これについては、その成果と課題を検証し、以下の論文に示した。(田中伸「主権者教育は何から始めればよいのかー授業デザインのヒントー『形式主義に陥ってはいけない。現実社会の文脈で熟議する学習を!』」『社会科教育』6月号、2016、pp.12-13。及び、田中伸、高木友美、北川住江「消費者市民社会の構築を目指した教育実践開発方略ー未来社会の創造を目指した主権者育成論としての消費者教育実践ー」『岐阜大学教育学部研究紀要』第65巻1号、2016、pp.39-52)。 第2は、子どもの認識に基づく対話型教育論の論理を分析し、理論化及び実践をデザインし、学校現場で実践を行った。それについて、以下の論文へまとめた(田中伸・前田佳洋・矢島徳宗「社会科教育実践における教師のゲートキーピングー消費者市民社会の構築を目指した学校と社会のコミュニケーションー」『岐阜大学教育学部研究紀要』第65巻2号、2017、pp.37-49。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を以下3つの論文として刊行した。(1)田中伸、高木友美、北川住江「消費者市民社会の構築を目指した教育実践開発方略ー未来社会の創造を目指した主権者育成論としての消費者教育実践ー」『岐阜大学教育学部研究紀要』第65巻1号、2016、pp.39-52。(2)田中伸「主権者教育は何から始めればよいのかー授業デザインのヒントー『形式主義に陥ってはいけない。現実社会の文脈で熟議する学習を!』」『社会科教育』6月号、2016、pp.12-13(3)田中伸・前田佳洋・矢島徳宗「社会科教育実践における教師のゲートキーピングー消費者市民社会の構築を目指した学校と社会のコミュニケーションー」『岐阜大学教育学部研究紀要』第65巻2号、2017、pp.37-49。また、コミュニケーション理論に基づく対話型教育論の構築のため、ハワイ大学とphilosophy for Childrenの共同実践を行うための共同研究を開始した。上記の点から、二年目としては順調に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、主に以下四点に取り組む。 第1は、前年度に引き続き調査を進め、コミュニケーション理論に基づく先駆的社会科教育プロジェクトや実践事例の収集・分析を進める。その際、主に対話やコミュニケーションをベースに授業を展開するphilosophy for children に着目し、米国ハワイ大学を中心に研究・実践が進められている事例を収集・分析する。 第2は、(1)の成果を含め、先進的な実践を行なっている日米中等学校を訪問し、子どもの認識調査及び実践の見学・収集を行い、授業研究論のモデルを作成する。 第3は、コミュニケーション理論に基づく内容構成論、方法論を体系化した授業理論(モデル)を構築し、当該モデルを用いた中等政治学習の授業を開発する。 第4は、上記三点を国内の学会(可能であれば国際学会)で発表し、現時点までの研究成果を吟味・検証する。
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Research Products
(9 results)