2015 Fiscal Year Annual Research Report
Farbrication of polar superstructures to develop new photovoltaic materials
Project/Area Number |
15H05426
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 優男 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (50525780)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 酸化物界面 / バルク光起電力効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
自発分極を持つ物質は、pn接合のような異種接合を作製しなくても光起電力を示すことが知られており、バルク光起電力効果(BPVE)と呼ばれている。BPVEを利用した光電変換素子は、光電流が電子の移動度によって制限されないことや、バンドギャップ以上の光起電圧が出力できるなど、pn接合型の素子にはない優れた特性を示すことから、新しい環境発電素子などの創製につながると期待されている。しかし、自発分極を持つ多くの物質はバンドギャップが大きく、可視光に対する応答性を示す極性物質が限られていることが問題であった。そこで本研究では、薄膜超構造を利用してもともと極性を持たない狭ギャップの物質に極性を誘起し、新しいバルク光起電力材料を開拓することを目的とする。 今年度は、酸化物のヘテロ接合界面を使って分極を誘起することを試みた。ペロブスカイト型酸化物の(001)面でヘテロ接合を作製すると、界面での極性不連続に起因して分極を誘起することができる。この方法を、LaFeO3とSrTiO3の接合に適用した。LaFeO3はバンドギャップ2.1 eVのモット絶縁体で、可視光を十分に吸収するが、バルク試料では極性を持たない。しかし、ヘテロ接合にしたLaFeO3では分極が誘起されていることを圧電応答力顕微鏡(PFM)によって確認した。また、接合の終端面を変えると分極方向が反転することも明らかにした。次に、終端面の異なる2つのヘテロ接合の光起電力特性を調べたところ、分極方向の反転に対応して、光電流の符号も反転した。また、分極が誘起されたLaFeO3接合は、他のモット絶縁体のヘテロ接合に比べて、大きな光電流密度を示した。以上の光起電力特性は、LaFeO3誘起された分極によるバルク光起電力効果で説明することができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、LaFeO3とSrTiO3のヘテロ接合において、界面で生じる極性不連続性を利用して非極性絶縁体のLaFeO3に分極状態の誘起を示唆する結果が得られた。しかし、研究計画に入っていた、人工超格子を利用した新しい極性物質の開拓まで進めることができなかった。人工超格子の研究が遅れた原因として、当初計画に入っていなかった有機電荷移動錯体において可視光照射による大きな光起電力効果を見出したため、そちらの研究に注力したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
LaFeO3/SrTiO3ヘテロ接合における光起電力効果の起源を明らかにするため、電子線ホログラフィーを用いて接合界面付近の静電ポテンシャル分布の測定を行う。またLaFeO3における光電流強度の膜厚依存性を調べ、光電流発生に寄与している活性層の膜厚を評価する。 また、人工超格子を利用した極性物質の開拓の計画を変更し、強誘電性を示す有機電荷移動錯体におけるバルク光起電力効果に関する研究を優先的に進める。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Direct Imaging of dynamic glassy behavior in a strained manganite film2015
Author(s)
W. Kundhikanjana, Z. Sheng, Y. Yang, K. Lai, E. Y. Ma, Y.-T. Cui, M. A. Kelly, M. Nakamura, M. Kawasaki, Y. Tokura, Q. T., K. Zhang, X. Li, and Z.-X. Shen
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Journal Title
Phys. Rev. Lett.
Volume: 115
Pages: 265701-1-5
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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