2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H05457
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠原 裕一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10511941)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 超伝導 / 界面制御 / 強相関電子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我々のグループが世界で初めて成功した重い電子系超伝導体薄膜の界面設計により、トポロジカル超伝導を含めた新奇超伝導相の創成とその制御を行う。応募者らにノウハウが蓄積された技術を戦略的に展開することで、トポロジカル超伝導の物理を切り拓き、界面設計による新しい超伝導現象探索・超伝導物質開発の学理の基礎を築くことを目的とする。このような目的のもと、平成27年度には(1)重い電子系人工超格子における量子臨界性の解明、(2)重い電子系ハイブリッド超格子における超伝導特性の解明、(3)重い電子系トリコロール超格子における超伝導特性の解明に関する研究を行った。 (1)重い電子系反強磁性体と通常金属の超格子を作製することにより、重い電子系反強磁性の2次元閉じ込めに成功し、2次元化による量子臨界状態の実現に成功した。また、磁場に対する量子臨界性の異方性がバルクとは逆になることが明らかとなった。(2)(1)をもとに、重い電子系反強磁性体と超伝導体による重い電子系ハイブリッド超格子を作製した。(1)から期待されるように、量子臨界状態と超伝導が共存することが明らかとなった。このような物質系は実現例がなく、新奇な超伝導状態が示唆される。(3)グローバルな空間反転対称性を破る超伝導物質を超格子作製によって開発することに成功した。従来の化学的物質開発では困難であった、空間反転対称性の破れの人工制御が可能であることを実証した。空間反転対称性に伴うスピンパリティの混成をも人工制御可能であることが示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の重い電子系人工超格子作製の成功により、従来のバルク物質では実現不可能な物質系の作製が可能となっただけでなく、その超伝導状態がバルク物質とは大きく異なることが明らかとなってきた。したがって、本研究の最低限の到達目標となる界面設計による超伝導物質開発については、大きな進展があったと考えられる。ハイブリッド超格子の作製に成功し、当初予期していなかったような新しい超伝導状態することが明らかとなってきた。そのため、次年度以降にその超伝導状態を明らかにする研究も進める。また、トポロジカル超伝導のエッジ状態を観測するための走査型トンネル顕微鏡システムの準備が完了し、直ちに研究を進める体制が整った。当初の予定通りに次年度からエッジ状態観測のための研究を推進する。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しており、当初の計画通りに研究を推進する方針である。具体的には、重い電子系超伝導薄膜によるトポロジカル超伝導相の実現、トポロジカル超伝導相エッジ状態の走査型トンネル顕微鏡による直接観測、電場による重い電子系超伝導状態の制御、接合におけるトポロジカル超伝導相の探索、である。
|
Research Products
(25 results)
-
[Journal Article] Superconductivity protected by spin-valley locking in ion-gated MoS22016
Author(s)
Y. Saito, Y. Nakamura, M. S. Bahramy, Y. Kohama, J. T. Ye, Y. Kasahara, Y. Nakagawa, M. Onga, M. Tokunaga, T. Nojima, Y. Yanase, and Y. Iwasa
-
Journal Title
Nature Physics
Volume: 12
Pages: 144-149
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] Optimized unconventional superconductivity in a molecular Jahn-Teller metal2015
Author(s)
R. H. Zadik, Y. Takabayashi, G. Klupp, R. H. Colman, A. Y. Ganin, A. Potocnik, P. Jeglic, D. Arcon, P. Matus, K. Kamaras, Y. Kasahara, Y. Iwasa, A. N. Fitch, Y. Ohishi, G. Garbarino, K. Kato, M. J. Rosseinsky, K. Prassides
-
Journal Title
Science Advances
Volume: 1
Pages: e1500059/1-9
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
[Presentation] ハイブリッド超格子CeRhIn5/CeCoIn5における量子臨界性2016
Author(s)
石井智大, 戸田琳太郎, 鳥井陽平, 成塚政裕, 下澤雅明, 花岡洋祐, 笠原成, 常盤欣文, 笠原裕一, 芝内孝禎, 寺嶋孝仁, 松田祐司
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学,宮城
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
-
[Presentation] ハイブリット超格子CeRhIn5/CeCoIn5の超伝導特性2016
Author(s)
鳥井陽平, 石井智大, 戸田琳太郎, 成塚政裕, 下澤雅明,花岡洋祐, 笠原成, 常盤欣文, 笠原裕一, 芝内孝禎, 寺嶋孝仁, 松田祐司
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学,宮城
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
-
[Presentation] 極低温熱伝導率測定からみた重い電子系超伝導体CeCu2Si2の超伝導ギャップ構造2016
Author(s)
大西隆史, 寺澤大樹, 山下卓也, 笠原裕一, 常盤欣文, 橘高俊一郎, 榊原俊郎, H. S.Jeevan, C. Geibel, M. Konczykowski, 芳賀芳範, 芝内孝禎, 寺嶋孝仁, 松田祐司
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学,宮城
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
-
[Presentation] Evidence for fully-gapped superconductivity in heavy-fermion CeCu2Si22016
Author(s)
Y. Kasahara, D. Terazawa, Y. Yamashita, T. Onishi, Y. Tokiwa, T. Terashima, Y. Matsuda, J. Wilcox, C. Putzke, A. Carrington, H. S. Jeevan, S. Seiro, C. Geibel, Y. Haga
Organizer
The American Physical Society March Meeting 2016
Place of Presentation
Baltimore, MA, USA
Year and Date
2016-03-14 – 2016-03-18
Int'l Joint Research
-
-
-
[Presentation] Cooper pairing protected by spin-valley locking in two-dimensional superconductivity on MoS22016
Author(s)
Y. Saito, Y. Nakamura, M. Bahramy, Y. Kohama, J. T. Ye, Y. Kasahara, M. Tokunaga, T. Nojima, Y. Yanase, Y. Iwasa
Organizer
The American Physical Society March Meeting 2016
Place of Presentation
Baltimore, MA, USA
Year and Date
2016-03-14 – 2016-03-18
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
[Presentation] CeCoIn5系トリコロール超格子によるグローバルな空間反転対称性の破れの導入2015
Author(s)
成塚政裕, 遠藤僚太, 戸田琳太郎, 石井智大, 下澤雅明, 花岡洋祐, 笠原成, 常盤欣文, 笠原裕一, 芝内孝禎, 寺嶋孝仁, 松田祐司
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
関西大学、大阪
Year and Date
2015-09-16 – 2015-09-19
-
[Presentation] 重い電子系ハイブリット超格子CeRhIn5/CeCoIn5における輸送測定2015
Author(s)
石井智大, 遠藤僚太, 戸田琳太郎, 成塚政裕, 下澤雅明, 花岡洋祐, 笠原成, 常盤欣文, 笠原裕一, 芝内孝禎, 寺嶋孝仁, 松田祐司
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
関西大学、大阪
Year and Date
2015-09-16 – 2015-09-19
-
-
-
-
-