2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method for measuring complex refractive index of black carbon aerosols
Project/Area Number |
15H05465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 信宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20507818)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エアロゾル / 大気放射 / 大気環境 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球大気に浮遊する微粒子(エアロゾル)のうち、ブラックカーボン等の黒い物質からなる粒子は、太陽光吸収により大気や雪氷面の加熱をもたらす。黒い粒子による加熱は、気候全体の温暖化の一因となるだけでなく、降水量や雪解け速度など水循環にも影響を及ぼす。これまで人為起源の黒い粒子としては、化石・バイオ燃料燃焼時に放出される主に炭素から構成されるもの(炭素性粒子:ブラックカーボンおよびブラウンカーボン)しか知られていなかった。本研究の過程で検出能力を拡張した単一粒子レーザー白熱検出装置を搭載した航空機観測により、人為的な高温プロセスで生成した黒色の酸化鉄粒子が、東アジア上空の対流圏に高い質量濃度で存在していることを発見した。さらに、金属ナノ粒子の凝集体のような複雑形状粒子の光散乱・吸収特性をマクスウェル方程式に忠実かつ高速に計算できるソフトウェアを開発した。新たに取得した観測データに基づいた理論計算から、この黒色酸化鉄粒子が炭素性粒子に比べて無視できない程度に大きい大気加熱効果をもつことを示した。この結果から、温暖化や水循環変化の一因となる人為起源の黒い粒子として、炭素性粒子だけではなく黒色酸化鉄粒子も重要である可能性が示された。さらに東アジアで観測した黒色酸化鉄の観測データで人為起源酸化鉄の放出量を制約した全球数値シミュレーションにより、ブラックカーボン、ブラウンカーボン、黒色酸化鉄それぞれの直接放射強制力の全球分布を計算した。この結果から、黒色酸化鉄がヨーロッパや東アジアなどの発生源近傍では、ブラックカーボンの10~30%程度の寄与をもつ有意な正の放射強制因子であることを初めて明らかにした。また、当初の研究目的であったブラックカーボン粒子の複素屈折率の測定についても、単一粒子光消散法としう新たな測定原理を考案し、装置を完成させ初期データを取り始めた段階にある。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)