2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体ナノチューブを基盤とした機能性材料の創成と物性探索
Project/Area Number |
15H05479
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大坪 主弥 京都大学, 理学研究科, 助教 (90601005)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属-有機構造体 / ナノチューブ / プロトン伝導 / クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブの発見以来、多孔性材料としてのナノチューブはその内空間における分子吸着能だけではなく、その導電性や高い耐久性から、エレクトロニクスなどの将来的な機能性材料への応用が期待されている物質群である。 本研究では、金属錯体を使用した簡便なボトムアップ合成により生成する金属錯体ナノチューブを基盤材料として選択し、従来のカーボンナノチューブ、無機ナノチューブに代わる第三のナノチューブ材料としての可能性を探るべく、ボトムアップ合成による構造設計に基づく金属錯体ナノチューブの系統的な空間設計と物性制御を第一に掲げ、金属錯体ナノチューブが有する内空間に基づく超プロトン伝導性、金属(超)伝導性の発現、およびそれらが共存する系や、太陽電池を志向した機能性材料の開発を目指している。 二年目となる平成28年度においては、初年度において未達成であった、置換基修飾によるナノチューブの内空間の疎水性/親水性の制御や電子ドナー/アクセプター分子の導入によるドーピングについて検討を行った。このうち、疎水性置換基、および電子アクセプター分子を導入したナノチューブの合成を達成できたものの、結晶性の問題から、現在のところフルの結晶構造解析には至っていない。しかしながら、構造的に柔軟な有機分子を配位子に持つ新規のナノチューブの合成に成功し、構造解析及びプロトン伝導性の検討から、研究開始当初に一つの目標としていた、ナノチューブの開口径と水分子のクラスターサイズおよびプロトン伝導性の傾向が明らかとなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノチューブに対する置換基修飾や電子/ホールドーピングについては今後、さらなる検討が必要ではあるが、化合物のバリエーションを大幅に増やすことに成功し、さらには研究開始当初に一つの目標としていた、ナノチューブの開口径と水分子のクラスターサイズおよびプロトン伝導性の傾向を示す結果を得ることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度となるH29年度は、H28年度までに達成できなかった、ナノチューブに対する置換基修飾による内空間の親水性/疎水性の制御や電子ドナー/アクセプター分子の導入による、ナノチューブへのドーピングについての研究を加速させる。また、高圧力や極低温等の極限環境下における物性測定についても積極的に行いたい。
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Research Products
(15 results)