2015 Fiscal Year Annual Research Report
Artificial photosynthesis system constructed on DNA nanoreactor
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15H05492
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中田 栄司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 講師 (70467827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNAナノ構造体 / ナノリアクター / 多段階物質変換反応 / 人工光合成システム |
Outline of Annual Research Achievements |
酵素や人工分子で構成される複数の反応点を一分子レベルで厳密に制御して配置した反応場であるナノリアクターを構築し、複数の反応点が連携する多段階物質変換反応を高効率化するためのナノリアクターの設計原理を見出すことを研究の目的としている。そのために、複数の反応点の空間位置を一分子レベルで様々に変化させて配置し、その配置が反応効率に及ぼす影響を系統的に評価していく。例えば、距離や配向・分子数などのパラメータが多段階物質変換反応にどのように影響するかを明らかとし、高効率な多段階物質変換反応を進行させるための設計原理を確立する。今年度は、二段階の酵素反応についてその空間距離が反応効率にどのように影響するのかを明らかとした。DNAナノリアクター上に二種類の連携する酵素を空間距離を変化させて配置した。配置された酵素の数を原子間力顕微鏡を用いて決定したうえで、空間距離が二段階酵素反応の効率にどのように影響するのかを詳細に評価した。また、配置した二種類の酵素間を二種類の分子(基質と補酵素)が受け渡される場合と、一種類の分子(補酵素)が受け渡される場合で、その空間距離の影響がどちらの場合により顕著に確認されるかを評価した。特筆すべき点として、これまでにもDNAナノ構造体上に酵素を並べてその空間配置が反応効率に及ぼす影響を評価した報告例は存在するが、(1)分子数を正確に確定させた上で評価をおこなった点(2)二種類または一種類の分子が酵素間を移動する場合の空間配置と反応効率の関係について評価をおこなった点においてこれまでに例がない。また、評価した二種類の酵素については、その発現量比を変化させることで効率を評価した例はあるが、本研究のように環境を変化させることでその反応効率の変化を評価した例はなく、有益な知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵素で構成される複数の反応点を一分子レベルで厳密に制御して配置した反応場であるDNAナノリアクターを構築し、複数の反応点が連携する多段階物質変換反応を高効率化するためのナノリアクターの設計原理を見出すという一連の研究を、一組の連続する酵素について示すことに成功している。この知見を生かしつつ、人工光合成システムをDNAナノリアクター上に構築するための材料合成までは計画通り進行している。ただし、その配置効率について期待した程の結果が得られなかったためDNAナノ構造体と酵素を配置するためのアダプターのそれぞれを再設計している。一方で、新しい展開が期待できるような興味深い実験結果も得られている。総じて「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、アダプターやDNAナノ構造体の最適化をおこないつつ、DNAナノ構造体上への酵素や人工分子の配置効率の決定およびその配置の高効率化を目指した最適化をおこなっていく。また、アダプターの最適化プロセスにおいて複数の酵素を配置するための直交性を有しているアダプターを見出しており、その評価を進めていくことで研究を展開することも視野に入れていく。
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Research Products
(16 results)