2015 Fiscal Year Annual Research Report
成膜中の連続膜形成を検知する革新的超音波センサの開発
Project/Area Number |
15H05503
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50452404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薄膜 / 形態変化モニタリング / 圧電体 / 共振周波数 / 内部摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では基板上に成膜される薄膜の形態が島状核(不連続形態)から連続膜へと変化するタイミングを正確に見極めることを可能にする超音波センサの開発を目的としている。このセンサでは、基板の裏側に設置された圧電体の共振特性の変化を観察することで、基板上に成膜される薄膜の形態変化を捉える。基板上に電極などを成膜する必要がなく、非接触で形態変化を捉えられる点が他にはない特徴である。この手法を用いるいことで、光透過性を有する金属電極薄膜の作成などが可能になる。 最初に基板の裏側に圧電体を設置し、その共振特性を成膜中にモニタリングすることのできる超音波センサを作成した。このセンサは異なる複数の基板上で薄膜成長を同時に観測できる構造を有している。このセンサを用いて、ガラス基板上にAg薄膜を成膜した場合を中心に実験を行った。成膜中の共振特性を測定すると、あるタイミングで共振周波数が低下し、同時に内部摩擦にピークが現れた。これらの現象は薄膜の形態が不連続から連続へと変化したことに起因すると考えられた。そこで、成膜時間の異なる薄膜を複数個用意し、それらの形態を原子間力顕微鏡で観測した。すると、共振周波数の低下前は島状の組織が徐々に大きくなる様子が見られたが、共振周波数の低下後はそのような傾向は見られなくなった。このことは、島同士が接触して面内方向への成長が制限されていることを示しており、連続膜になったことを示している。この実験結果より、開発した超音波センサが連続膜の形成を検知可能であることが確認された。また、ガラス基板の厚さを変えた実験から、基板厚さが1mm程度であっても適用可能なことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサの開発、センサの性能評価など、当初の計画通りに研究が遂行されており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、初年度に引き続き薄膜材料や基板材料を変えて実験を行い、材料の違いによる薄膜成長の変化を観察する。また、不連続と連続の境界にある薄膜はガスセンサへの応用が可能なことが報告されているため、このようなアプリケーションへの適用性についても検討する。
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Research Products
(3 results)