2016 Fiscal Year Annual Research Report
成膜中の連続膜形成を検知する革新的超音波センサの開発
Project/Area Number |
15H05503
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50452404)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 薄膜 / 形態変化モニタリング / 圧電体 / 共振周波数 / 内部摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では基板上に成膜される薄膜の形態が島状核(不連続形態)から連続膜へと変化するタイミングを正確に見極めることを可能にする超音波センサの開発を目的としている。このセンサでは、基板の裏側に設置された圧電体の共振特性の変化を観察することで、基板上に成膜される薄膜の形態変化を捉える。基板上に電極などを成膜する必要がなく、非接触で形態変化を捉えられる点が他にはない特徴である。 開発しているセンサは圧電体が周囲に作る電場を利用するため、基板が電気伝導性を有していると、その上に成膜される薄膜形態の検出が困難になることが予想される。前年度はガラス基板を用いて実験を行ったが、今年度は電気伝導率の異なるシリコン基板を用いて実験を行った。その結果、電気伝導率の高い基板に対しては、薄膜の形態変化の検出が困難であることが分かった。しかしながら、使用するセンサの駆動周波数を高くすると検出能力が改善することが観測され、センサの使用条件を最適化することで適用可能な基板を増やせることが示唆された。さらに、反応速度論を利用した薄膜の成長モデルの構築にも取り組んだ。これまでに、基板温度の変化による膜成長の違いを再現することのできるモデルを構築した。また、センサの応用研究として水素検出センサを試作した。これはPdが水素を吸蔵して膨張する現象を利用したセンサで、不連続と連続の中間の構造を持つPd薄膜を成膜し、水素雰囲気中での体積変化に伴う電気伝導率の変化から水素を検出するセンサである。電極を必要としないセンサのため、高い利便性や適用性が期待される。水素雰囲気下での応答試験を行ったところ水素への応答が検出され、水素センサとして動作することが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる基板や異なる条件での実験を行い、開発したセンサの適用範囲に関する知見を着実に収集している。実験結果を説明するための解析モデルの構築も進展している。応用研究としての水素センサの試作も行い、センサとしての動作を確認できた。いずれの実験・解析は、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果から、開発したセンサの適用可能材料が明らかになってきた。測定条件を変えることで適用可能なが広がる可能性も示されており、引き続き測定条件を変えるなどの実験を行い本センサの適用範囲を調査する。また、試作した水素センサが動作することを確認できたので、その性能評価をさらに詳細に行う。
|
Research Products
(3 results)