2015 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン量産プロセスの開発と超高強度ナノ複合材料の創製
Project/Area Number |
15H05504
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒尾 与史彦 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40449335)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | グラフェン / ナノ粒子 / 解砕 |
Outline of Annual Research Achievements |
黒鉛を液相プロセスにおいて剥離し、グラフェンに変換するための基礎研究を行った。具体的には、高出力の超音波分散機を用いて、投入する黒鉛の量、界面活性剤、溶媒、溶媒の容量など、多岐のプロセス変数を最適化した。その結果、グラフェンの生産能力は1時間あたり0.3g程度であることを明らかにした。これは、超音波で消費する電力に比べて、グラフェンの生産量が著しく低く、生産されるグラフェンはコスト高になることを意味しており、超音波を利用した剥離処理は研究ベースでは数多くなされているものの、グラフェン生産の工業化をはかるためには適さないことが明らかとなった。 以上を踏まえて、バリア放電分散や、超高せん断付与による剥離など、様々な装置を用いて黒鉛の剥離処理を試みた。その結果、圧力ホモジナイザーを用いで高せん断力を付与することで、グラフェンの生産能力は、高出力超音波と比較して1桁以上改善することが分かった。圧力ホモジナイザの内部流れをシミュレーションした結果、流れは乱流ではなく層流となっており、100m/sを超える高速流れで高せん断を付与できることが分かった。流れを層流とすることで、黒鉛をずらすように剥離することができ、よりサイズの大きなグラフェンを量産化できるものと期待できる。また圧力ホモジナイザはスケールアップが容易であるため、大型装置を用いることで、グラフェンの生産能力は1kg/hを超えることが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は様々な装置を用いて、グラフェンの生産能力をそれぞれ定量化することが目的であった。高出力超音波や圧力式ホモジナイザ、高速撹拌機などを試した結果、圧力式ホモジナイザが最も有効であることを実証した。この理由を検討するために、圧力式ホモジナイザの内部流れをシミュレートした結果、高速層流状態となっており、おそらくこの流動条件が黒鉛の剥離に有効であろうと目星をつけることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
黒鉛をグラフェンに剥離するための最適な装置について目星をつけることができた。さらにグラフェンの生産能力を向上させるためには、用いる溶媒を工夫することや、黒鉛を前処理して構造制御することで、さらなる生産能力を改善できるものと期待できる。 次年度では様々な溶媒において、圧力ホモジナイザにて剥離処理を行い、その剥離効率とグラフェンの質について検討を行う。
|