2015 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of a micro-sphere using whispering gallery mode resonance
Project/Area Number |
15H05505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道畑 正岐 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70588855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Whispering gallery mode / マイクロ球 / 直径 / 真球度 / 校正 / テーパファイバ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、球内の光伝搬モードの一つであるWGMの共振状態をモニタリングすることで、球の形態情報の測定を目指すものである。具体的には直径数100 μmの誘電体球に対して最終的に10 nmの精度で直径を計測することを目指している。そのために、重要な要素として、WGM共振波長、球屈折率、WGMのモード番号(角度モード、方位角モード、半径モード)を測定する必要がある。そこで本研究では、1. 角度モード番号、2. マイクロ球屈折率の補正方法の提案、3. 超高分解能WGM共振波長の測定装置の構築、の3つのテーマに対して研究を行い。下記の成果を得た。 1. 角度モード番号の判定:角度モード番号の判定について、マイクロ球が共振器として作用することを応用した手法を提案した。微小球のモード体積をに着目した手法を提案しその有用性を示した。結果をJournal of Engineering manufactureに投稿した。 2. マイクロ球屈折率の補正方法の提案:WGM偏光特性を用いた球の屈折率測定方法を提案した。測定原理を数値解析を用いて検証し、本手法の適用に必要な波長測定精度を明確にした。その成果を、国内学会(精密工学会、機会学会)、国際会議(ISOT)で発表した。 3. 超高分解能WGM共振波長の測定装置の構築:最後に、超高分解能に共振波長を測定可能となるWGMの励起と計測装置の構築を行った。これより得たマイクロ球の測定性能を合わせて、国内学会(精密工学会)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では当該年度に、下記3つのテーマに対して研究を行い、次の成果を得た。 1. 角度モード番号の判定:角度モード番号の判定について、マイクロ球が共振器として作用することを応用した手法を提案した。微小球のモード体積をに着目し、つまり、共振波長のフリースペクトラムレンジが周期的ではない点を利用して、複数WGM共振波長からモード番号を特定する方法を検討した。これまででは得られなかった、様々なモード番号に対して約10nm以下ばらつきで測定したマイクロ球直径が一致した。このように、その有用性を示した。 2. マイクロ球屈折率の補正方法の提案:WGM偏光特性を用いた球の屈折率測定方法を提案した。WGMの共振波長は、偏光によりわずかにずれる。その量は理論的に主に共振波長と屈折率に依存する。実験値によって得られる複数の偏光状態の共振波長を測定、そのずれ量はマイクロ球屈折率の情報を持つため、球屈折率をパラメータとした理論値との共振波長マッチング行うことで、マイクロ球の屈折率が推定できる。ただし、十分に高精度な屈折率補正を行うためには、1pm以下の精度で共振波長を測定する必要であることがわかった。 3. 超高分解能WGM共振波長の測定装置の構築:上記の要求を受けて、超高分解能に共振波長を測定可能となるWGMの励起と計測装置の構築を行った。一部を直径1 μm程度に細径化したテーパファイバを用いたエバネッセント結合によりWGMをマイクロ球内で励起する。テーパファイバの透過光をモニタすることでWGM共振を測定する。共振波長は波長計により約1pmの精度で測定可能である。結果として、温度ドリフトによる影響は受けるものの、本装置を用いることで0.41 pmの繰り返し精度でWGMの共振波長を測定することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、下記の課題に取り組む。 1. WGM共振波長の正確性の向上:本年の実験から、テーパファイバを用いてWGM共振を測定する際、ファイバと球の距離に応じて共振波長が0.1 nm以下のオーダでシフトする現象を明らかにした。有限要素解析によるシミュレーションを用いてその原因を解明し、最適なWGM励起方法を検討する。 2. 半径モード番号の判定:これまでに、角度モード、方位角モードについて検討を行ってきた。最後に半径モードについて理論をベースとした判定方法を提案する。マイクロ球は3次元共振器であるため、そのモードボリュームが特徴を持つ。半径モードは光伝搬が半径方向によって異なる。つまり、モード体積の特徴が強くあわられる。よって、半径モード番号の違いによるモード体積を測定することで半径モード番号を特定する方法を検討する。 3. 歪んだ球に対する共振波長の算出:実際のマイクロ球は、真球ではなく形状歪みを持つ。理論的には真球を対象としているため、理論値と実験値が異なる可能性がある。そこで、真球ではない回転楕円体モデルに対する分散式(形状と共振波長の関係式)を解析的に求めることで、その影響を調査する。また、同様に有限要素解析によるアプローチも行う。実験によるモデルの検証は容易ではないため、解析解と数値解析の多角から検証を行う。より発展的には、球が歪むことで顕著に現れ始める方位角モードの情報を用いることが球の歪み量を評価する。
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Research Products
(4 results)