2015 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子をトレーサとするナノチャネル時空間流動計測法の創成
Project/Area Number |
15H05507
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嘉副 裕 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20600919)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 流体計測 / ナノチャネル / 単一分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
10-100 nm空間を利用して革新的機能を実現するナノ流体工学が発展しつつあり、ナノ流路の時空間流動計測法が求められている。しかし、最小でも20 nm程度のトレーサ粒子を用いる従来の粒子画像流速計(PIV)は、100 nm空間では分解能に乏しく、10 nm空間にはそもそも適用困難である。そこで本研究では、単一分子をトレーサとするナノ空間流速分布計測法、即ち分子画像流速計(MIV)を創成する。 平成27年度は、サイズが制御された高分子であるデンドリマーを用いた単一分子トレーサの開発に取り組んだ。末端にサクシニミジルエステル基を有するデンドリマーと量子収率が高い蛍光分子Alexa Fluor 546の修飾反応を検討して、蛍光デンドリマーを生成した。その結果、大きさ14 nmでサイズ・蛍光強度ともに均一な単一分子トレーサを実現できた。さらに、修飾反応の繰り返し、溶媒選定による反応の安定化、デンドリマーとAlexa 546の反応へのスペーサー導入による立体障害の抑制により、蛍光修飾反応の効率を改善した。開発した単一分子トレーサを用いて深さ150 nmのナノ流路の圧力駆動流を計測し、分解能など課題はあるものの、単一分子トレーサの速度分布を得た。これは、MIVによるナノ流路の流速分布計測が可能であることを示唆する重要な知見である。 一方、モンテカルロシミュレーションから、100 nm流路の流速分布計測に必要な10 nm分解能を得るためには、トレーサのブラウン運動の影響を抑制するために100 μsの時間分解能が必要であることを見出した。今後、この要求を達成すべく研究を推進していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、デンドリマーの蛍光修飾による単一分子トレーサの開発に成功した。この結果により、次年度は計測システム開発に移行することができる。よって、事業は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションから見出した流速分布計測に必要な分解能を目安として、計測システム開発とナノ流路の流速分布計測の検証に取り組む。
|
Research Products
(22 results)