2016 Fiscal Year Annual Research Report
単一駆動部による多自由度MEMSスキャナの制御とそのデバイス応用
Project/Area Number |
15H05514
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩瀬 英治 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70436559)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノマイクロメカトロニクス / MEMSスキャナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成28年度)は、駆動部を備えたMEMSスキャナの駆動特性を評価した。1対の支持梁による高開口率と合わせて、もう一つの本研究の特徴である単一駆動部による多自由駆動の実証を行った。 MEMSスキャナの駆動力としては、ローレンツ力を用いることとした。これは、3自由度などの多自由度の駆動においても、1つの駆動部で実現することを考えたためである。すなわち、外部(MEMSスキャナの下部)に永久磁石を配置し、MEMSスキャナのミラー部および支持梁部に配置した配線に流す電流によりローレンツ力を発生させMEMSスキャナを駆動した。まず、永久磁石の配置及び配線の配置を工夫することで、3種類の自由度に関してそれぞれの共振周波数の信号を入力することで単一自由度の駆動が可能であることが確認した。この駆動特性は、前年度(平成27年度)に確認した、駆動部を持たないMEMSスキャナで確認していた基礎特性と共振周波数特性などにおいて大きな乖離はなく、前年度の設計を基に駆動部を備えたMEMSスキャナが実現できたことを示している。 さらに、3種類の周波数信号(単一自由度の駆動信号)を重畳した駆動信号により、3自由度を同時に駆動可能であること、およびそれぞれの駆動振幅は、それぞれの共振周波数成分の大きさによって独立に制御できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず当初計画通り、単一駆動部による多自由度駆動の実証を行うことができた。 単一自由度の駆動信号を重畳した信号による、単一駆動信号による多自由度駆動は当初から念頭にあったが、重畳信号としたことにより、単一駆動より劣る駆動特性となることが懸念されていた。しかしながら、共振周波数を大きく離した設計とすることなどにより、頂上信号においても、各自由度の駆動振幅を独立に制御できる線形的な駆動を実現できた。 このことは実際にMEMSスキャナを製品利用する場合などには大きな利点であり、当初の計画以上に進展していると捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
MEMSスキャナを実際に利用ことを想定した光学デバイスの設計を行うことを計画している。これまでに3自由度駆動を実現しているが、3自由度駆動にこだわると、光学デバイスの設計が困難になることが危惧される。本MEMSスキャナは1自由度や2自由度での利用であっても実用が可能であるため、3自由度に固執せず本MEMSスキャナの利点がきちんと示せる形での実証実験を行いたいと考えている。
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Research Products
(3 results)