2016 Fiscal Year Annual Research Report
津波による流出家屋に起因した「津波火災」のシミュレーションモデルの構築
Project/Area Number |
15H05540
|
Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
西野 智研 国立研究開発法人建築研究所, 防火研究グループ, 主任研究員 (00609894)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 津波火災 / ハザードマップ / 津波避難 / 地震被害想定 / 出火 / シミュレーション / 延焼モデル / 南海トラフ地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
南海トラフ地震津波のような将来の巨大津波では,「津波火災」による被害の発生が懸念される。この津波火災の形態は,家屋を中心とした可燃物が津波に押し流され,ガレキとなって浸水域に堆積した後,何らかのエネルギーが付与されて火災が発生し,周りのガレキに燃え移って大規模な火災に発展する。本研究では,こうした津波火災の全体像を合理的に予測可能なシミュレーションモデルを開発することで,津波火災の定量的な被害予測ツールを提供することを目的とする。また,南海トラフ地震を対象に,津波火災シミュレーションを行うことで,既往の地震被害想定に本モデルを適用する方法を示す。 平成28年度は,昨年度に取得した東日本大震災後の津波集積物の3次元分布データを用いて,昨年度までに開発してきた可燃物の流動・集積モデルの予測精度の検証を行った。また,津波火災によってある地点が被害を受ける可能性の大きさを表す危険度指標として,その地点に最終的に漂着する可燃物の単位面積あたりの総重量(集積可燃物密度)に着目し,これを危険度指標とした津波火災ハザードマップの推定手法を提案した。これにより,津波避難ビルの指定において,津波火災による被害の可能性が低い場所については指定要件を緩く,高い場所については指定要件を厳しくするといった対策の検討が可能になる。さらに,浸水域に集積した可燃物の燃焼拡大性状をモデル化し,津波火災による延焼被害が評価できるよう,昨年度までの計算プログラムを発展させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた可燃物の流動・集積モデルの検証,および,燃焼拡大性状のモデル化を行えたことから,おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,前年度までに開発してきたシミュレーションモデルを活用し,南海トラフ地震による津波火災被害を予測するとともに,被害低減方策を検討する。
|
Research Products
(4 results)