2016 Fiscal Year Annual Research Report
室温高圧合成法によるカルコパイライト型化合物の構造と熱電特性の制御
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15H05548
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小菅 厚子 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルコパイライト / 熱電特性 / 結晶構造 / 室温高圧合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、室温高圧合成の合成条件が構造と電子状態に与える影響を解明するために、第一原理計算と実験を行った。 具体的には、 (1)室温高圧合成により形成されると予測される構造を実験結果を基にモデリングした。結晶構造解析からは、カルコパイライト構造のカチオン原子が入れ替わった構造が室温高圧合成により生じている可能性が高いことがわかったことから、カチオンサイトの入れ替わりの度合いと配置が異なる複数の構造をモデリングした。第一原理計算を基にした形成エネルギーを比較することで、どの構造が形成されやすいかを考察した。その結果、室温高圧合成により生じている構造が、圧力誘起構造相転移により生じた高圧相ではなく、圧力という外的なエネルギーを加える事で生じた準安定構造であると解釈した方が、形成エネルギーの結果が上手く説明できることがわかった。
(2)また、(1)の構造モデルを基に、電子状態計算を行い、室温高圧合成により試料に与えられると予測される変化について考察した。その結果、構成元素の軌道の位置に変化が生じ、価電子帯と伝導帯の位置が変化し、バンドギャップの減少が生じることが予測された。この結果により、実験的に得られた結果の一部が説明できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画である、試料の作製条件と電子状態の関係を明らかにすることができたため。また、本課題の研究成果として、以下の①の賞、本課題の研究からスピンオフした成果として、以下の②③の賞を受けた事も大きな成果である。 ①The ITS(International Thermoelectric Society) Outstanding Poster Award (2016年6月)“Structure and thermoelectric transport analysis of defect containing CuGaTe2 prepared by room-temperature high-pressure synthesis”, Yosuke Fujii, Hiroki Funashima, Hiroshi Yoshida-Katayama, Ikuya Yamada, Atsuko Kosuga. ②日本金属学会2016年秋期(第159回)講演大会優秀ポスター賞 (2016年9月), "Ge2Sb2Te5準安定相バルク状熱電変換材料の結晶構造及び低温熱電特性の評価", 大本達朗, 久保田佳基, 山田幾也, 小菅厚子, 日本金属学会2016年秋季(第159回)講演大会. ③第13回日本熱電学会(TSJ2016)講演奨励賞 (2016年9月), “Ge2Sb2Te5準安定相バルク状熱電変換材料の結晶構造及び低温熱電特性の評価", 大本達朗、久保田佳基、山田幾也、小菅厚子、第13回日本熱電学会(TSJ2016).
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見を、構成元素の異なるカルコパイライト構造材料や、再度同一のカルコパイライト構造材料にフィードバックし、熱電特性の改善を試みる。またモジュール化に必要な要素技術についても研究を詰める。最終的には1対のプロトタイプモジュールを作製できるような試料の開発を目指す。
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Remarks |
大阪府立大学 大学院理学系研究科物理科学専攻 小菅研究室 http://www.p.s.osakafu-u.ac.jp/~a-kosuga/
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Research Products
(13 results)