2015 Fiscal Year Annual Research Report
雨滴の多点観測を活用した樹木の濡れ乾きの3次元物理シミュレーション
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15H05626
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
南光 一樹 国立研究開発法人 森林総合研究所, 気象環境研究領域, 主任研究員 (40588951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 樹冠遮断 / 雨滴 / 林内雨 / 濡れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、樹冠の雨水再分配プロセスを「枝葉への雨水の付着と蒸発」「枝葉間での雨水移動」という物理現象の組み合わせとして捉え直し、実験・観測・演算を通して、樹木の濡れ乾き過程を物理的に再現することを目的とする。野外観測では、対象木をシラカンバに定め、25台の自作のレーザー雨滴計を用いた多点雨滴測定システム及び樹木近傍微気象観測システム(気温、湿度、濡れ、日射、風向風速、降雨強度)を構築した。室内実験では、葉や樹皮の表面への雨水付着量を調べるために、常緑広葉樹の11種の葉の表裏及び13種の枝で自動接触角計を用いた撥水性測定実験を行った。付着力に対する樹種・葉枝の違いについて検証した。全体的な傾向として、枝、葉の表、葉の裏の順に撥水性が高かった。過去の課題責任者の論文で推測されたように、大きな林内雨滴を生み出す樹種において撥水性が低いことが確認された。試験木の3Dモデリングでは、対象木の地上レーザースキャニングを行った。 本研究課題の遂行に必要な不可欠な既往研究成果研究成果の1つ(葉から滴下する雨滴の樹種間差異)が2016年3月に日本森林学会奨励賞を受賞した。別の研究成果(落葉広葉樹の葉の有無による雨滴の差異)が論文として2015年5月に公開された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育児休暇を取得したことにより進捗がやや遅れている。野外観測システムの立案、ブラッシュアップ、物品購入に時間を要したためシステムの完成が遅れた(2016年1月に物品調達完了)ため、野外観測がやや遅れている。その代わりに、次年度に予定していた撥水性測定実験を前倒しで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
野外観測システムを安定的に稼働させ、データの収集に努める。落葉広葉樹についても葉の撥水性を得る。研究協力者であるDelphis F. Levia博士(米国デラウェア大教授)を次年度に招聘するための日本学術振興会外国人招へい研究者(短期)の制度に採択されたため、来日時に成果発表について議論を深める。
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Research Products
(1 results)