2017 Fiscal Year Annual Research Report
Direct conversion from waste rubber to plastic: Development of hybrid microbial conversion system
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15H05639
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
笠井 大輔 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (80452085)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 希少放線菌 / ゴム分解遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、ゴム分解能を持つ希少放線菌Actinoplanes sp. OR16株のゴム分解遺伝子の特定を目指して、ゲノム解析により限定した候補遺伝子の遺伝子破壊系の確立を行なった。本株は、他の放線菌で知られるゴム分解遺伝子(lcp)と相同性を示す遺伝子を2つ(lcp1、lcp2)有することから、各遺伝子のデリーションクローンを作製した。遺伝子破壊には、CRISPR-Cas9システムを含むpCRISPomyces-2ベクターを用いた遺伝子置換法を利用して、目的遺伝子の内部領域を欠失した断片とゲノム中の相同領域を置換させた。得られた遺伝子破壊株候補のゲノムDNAを抽出し、PCRにより目的の内部領域が欠失していることを確認した。得られたlcp1及びlcp2遺伝子破壊株のゴム分解能を調べるために、イソプレンゴムを添加した培地に各株を摂取し30度で培養した。その結果、野生株では生育とゴムの分解が確認されたのに対して、両破壊株での生育および分解はどちらも認められなかった。以上の結果から、OR16株のゴム分解にはlcp1及びlcp2の両方が必要であることが示唆された。両遺伝子産物のゴム分解への関与を明らかにするために、大腸菌で発現させた両遺伝子産物の精製を行なった。得られた生成タンパク質の比活性を測定した結果、Lcp1とLcp2はそれぞれ4.0、1.2 U/mgであることが明らかとなった。ゴム代謝時における各遺伝子の転写量は同等であったことから、OR16株のゴム分解には、どちらも必須であるもののlcp1が優位に働いている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の大局的観点から概ね順調に進展していると考えられる。当該年度では、ゴム分解菌の分解酵素遺伝子を同定するために、遺伝子破壊系が十分に整っていないゴム分解性放線菌をターゲットとして、その遺伝子破壊系を構築できた。特にCRISPR-Cas9システムを利用して内部を欠失した状態で遺伝子破壊が可能になった点は、他の遺伝子の欠失株を作製する上で十分に活用でき、今後の研究の進捗に大きく影響すると考えられることから今年度の大きな成果である。さらに、ゴム初発分解遺伝子の近傍には、転写制御に関わる因子をコードする遺伝子が見出されている。今回用いた遺伝子破壊系を用いてゴム分解遺伝子の転写制御に関わると考えられる遺伝子を破壊することができれば、ゴム分解能の強化に繋がると考えられる。その準備は今年度で十分に整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、ゴム分解関連遺伝子の発現調節に関わると考えられる推定の遺伝子の破壊を行う。同時に、ポリヒドロキシアルカン酸の生産能を有するゴム分解菌Rhizobacter sp. NS21株のポリヒドロキシアルカン酸生産能を向上させた変異株を作出する。変異型E1と変異型NS21を混合し、ジャーファーメンターを用いてゴムと反応させ、最適なPHA生産条件を決定する。ゴム分解能は、ゲル浸透クロマトグラフィーによりゴムの分子量分布を測定することで測定する。同時に、菌体抽出物を調製し、HPLC-MSを用いてポリヒドロキシアルカン酸生産性を評価する。さらに、HPLC-MS分析によりゴムの分解で得られるイソプレンオリゴマーを定量し、ゴム分解に最適な条件を検討する。また、ポリヒドロキシアルカン酸生産性性に関してもナイルレッド染色した細胞のフローサイトメーターでの観察と顕微鏡観察により、一細胞あたりにおける蓄積量の変化についても定量的に評価する予定である。
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