2015 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性菌制御のための原子情報プラットフォームの構築
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15H05672
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和知野 純一 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (00535651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 16S rRNA MTase / メタロβ-ラクタマーゼ / in silico screening / 蛋白結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアミノ配糖体耐性機構の1つである16S rRNA methyltransferase NpmAの阻害剤探索をin silico screeningにより行った。先行研究によって得られたNpmAの立体構造情報と200万化合物ファイルを用い、multiple target screening(MTS)法(mypresto)によるスクリーニング作業を行った。そして、化合物とNpmAのドッキング計算結果を基に、NpmAの活性中心に結合し、阻害剤として機能すると予測される66化合物を選別、入手した。精製30S ribosomal subunit(16S rRNA)、[3H]-s-adenosyl-L-methionine(SAM)、精製NpmAを試験管内で混和し、SAMのメチル基が16S rRNAへ転移する反応を計測する実験系を構築した。この実験系に阻害剤候補化合物を加え、メチル化反応の減弱が観察された場合、添加した化合物が阻害剤として機能しているものと予測される。実際に、66化合物について検討したところ、2化合物について阻害効果が確認された。次年度以降は、阻害効果が確認された2化合物とNpmAの相互作用解析を進める予定である。 また、本年度はカルバペネム分解酵素であるメタロ-β-ラクタマーゼ6種類(IMP-1、VIM-2、NDM-1、SFH-1、L1、SMB-1)について精製を行い、さらに、それらの結晶化作業を行った。L1以外の5種類については結晶作製に成功し、構造情報を取得することができた。また、いずれのメタロ-β-ラクタマーゼについても、1週間位以内に安定かつ再現性良く結晶を作製するための条件を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In silico screeningのための環境整備に若干の遅れが生じたが、予定通り16S rRNA methyltransferase NpmAの阻害候補化合物を取得することできた。また、MBLの精製については学生2名の協力により、予定通り終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
16S rRNA methyltransferase NpmAの阻害剤候補化合物については、試験管内における阻害反応をさらに詳細に検討する予定である。また、NpmAと阻害剤候補化合物との複合体結晶を作製し、得られた構造情報から、より強い阻害剤へと改変できる可能性を模索する。さらに、これらの化合物が、菌体に対し阻害効果を示すか否かを検証する。 精製したMBLと研究室に保存されている化合物ライブラリーを用い、MBLに対し阻害効果を示すシード化合物を探索する。
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