2016 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性菌制御のための原子情報プラットフォームの構築
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15H05672
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和知野 純一 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (00535651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタロβ-ラクタマーゼ / ニトロセフィン / セフタジジム / メロペネム / ハイスループット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はSMB-1メタロβ-ラクタマーゼに対する阻害剤探索を行った。阻害剤探索を行うにあたりハイスループット系(HTS)を構築した。本HTS系は精製SMB-1(10 nM)、発色β-ラクタム薬であるニトロセフィン(100 uM)を用い、緩衝液中においてSMB-1によるニトロセフィンの分解を吸光度(482nm)の変化で捉える実験系である。1アッセイあたり5分で80化合物の評価が可能である。この実験系に各種化合物を添加し、ニトロセフィンの分解速度の低下を指標に、阻害剤探索を行った。研究室に保管されていた約7000化合物について評価を行ったところ、強い阻害活性を示すものをいくつか発見するに至った。さらに、SMB-1メタロβ-ラクタマーゼを産生する大腸菌を用い、酵素レベルで阻害活性を示した化合物が、菌体に対しても阻害効果を示すか否かを検討した。SMB-1メタロβ-ラクタマーゼを産生する大腸菌に対するセフタジジムやメロペネムの最終発育阻止濃度(MIC)が、阻害剤存在下で減少するか否かを観察した。最終的に、化合物自体の毒性は認められず、且つ、MIC値の減少をもたらす化合物を3つ発見することができた。今後、この3つの化合物とSMB-1メタロβ-ラクタマーゼの相互作用について検討を行う予定である。また、IMP-1、NDM-1、VIM-2メタロβ-ラクタマーゼについても同様にHTS系を構築し、阻害剤探索を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SMB-1メタロβ-ラクタマーゼに対する有効なシード阻害化合物を発見することができた。IMP-1、NDM-1、VIM-2といった他のメタロβ-ラクタマーゼについてもシード阻害化合物を発見できる可能性が示された。これらの成果は、阻害剤探索を行うにあたり、至適なHTS系を構築できたためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はSMB-1メタロβ-ラクタマーゼと発見した3つのシード阻害化合物との相互作用をX線結晶構造解析によりあきらかにする。また、酵素学的速度論によりIC50や阻害定数(Ki)を算出し、シード阻害化合物の阻害効果を数値化する。
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Research Products
(1 results)