2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H05690
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 歩 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20595011)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケアの質指標 / 長期療養施設 / 高齢者 / アウトカム / プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目である平成27年度は、文献レビューおよび専門職へのインタビューから質指標の項目案を作成し、質問紙調査によるデータ収集を実施した。 1)文献レビューおよび医療療養病棟で働く専門職へのインタビューから、長期療養施設の質指標として、身体拘束の割合、尿路感染症の割合、尿路カテーテルの留置割合、褥瘡(Ⅱ度以上)の有病率・発生率、転倒割合、経口摂取の開始割合、トイレ排泄を試みている割合、自宅への退院割合、過去1ヶ月のレクリエーション回数を選定した。 2)全国269施設の医療療養病棟の看護管理者を対象に、病院・病棟特性、入院患者の状態像、質指標および主観的なケアプロセス評価に関する質問紙調査を実施し、257名の看護管理者より回答を得た。 3)入院患者の状態像との関連のあった質指標項目(尿路カテーテル留置割合、転倒割合、自宅への退院割合)に関しては、病棟間で入院患者の状態像の差を調整した質指標値(調整値)を算出した。入院患者の状態像が関連していなかったそのほかの質指標項目に関しては、実測値をそのまま質指標として用いることとした。 4)各質指標の値と病院・病棟特性、入院患者の状態像、ケアのプロセス評価との関連を検討し、長期療養施設における質指標としての妥当性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの入力・ダウンロードのためのウェブシステムの開発を計画していたが、既存のシステムを活用できる可能性があり、システム開発を保留とした。一方当初の計画にはなかったが、質問紙調査を実施し、質指標の実態と妥当性を検討した。これにより質指標開発のプロセスが補強された。
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Strategy for Future Research Activity |
●平成28年度は、質指標項目の精選を行った上で、医療療養病棟を有する医療施設における質指標データとケアのプロセスとの関連を検討する。また、医療療養病棟においてケアの改善活動を行い、質指標データの変化を調査する。 1)質指標項目の検討:前年度の分析及びインタビューデータの検討により、質指標の項目の追加・修正を行う。 2)質指標の導入・データ収集 ①参加施設のリクルート:10病院を目標に参加施設のリクルートを行う。/②質指標調査・プロセス評価:参加施設において、管理者・スタッフへの質問紙調査およびカルテ調査により、質指標・ケアプロセスに関するデータ収集を行う。/③施設におけるケアの改善活動の実施:参加施設のうち希望のある施設(3施設程度)において、ケアの改善活動を実施する。活動内容は各施設のニーズに合わせて決定し、研究者は適宜支援を行う。上記②のデータ収集を3ヶ月ごとに実施し、改善活動による質指標の変化を観察する。
●平成29年度は、各施設で活用可能な標準的なケア改善の指針を作成する。また参加施設においてケア改善の指針を活用しつつ、ケアの改善活動を継続して実施する。参加施設のスタッフに対し、質指標の妥当性・活用可能性およびケアの質評価への認識・知識を問う質問紙調査を実施する。加えて各職種の代表者を集めたグループインタビューを実施し、より具体的な改善点について聴取し、質指標の修正を検討する。質指標導入前後のスタッフの認識・知識の比較を行い、質指標導入によるスタッフへの効果を評価する。
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