2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H05753
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
鈴木 俊法 京都大学, 理学研究科, 教授 (10192618)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀尾 琢哉 京都大学, 理学研究科, 助教 (40443022)
足立 俊輔 京都大学, 理学研究科, 准教授 (90431874)
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| Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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| Keywords | 光電子分光 / 溶液 / 真空紫外光 / 化学 / 超高速分光 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
チタンサファイア再生増幅器の出力を分割し、次の三つのビームラインを構築した。一つは、チタンサファイアの基本波(800 nm)から２倍波(400 nm)を発生し、これらを希ガスセルに導入することで３倍波(266 nm)から６倍波(133 nm)までを同時発生するビームラインである。これらの光の任意のペアによるポンプ－プローブ実験を可能にした。二つ目は、基本波を希ガスセルに集光して高次高調波発生を行い、奇数次数の高調波を21次以上まで発生した後、多層膜鏡を用いて19次光だけを選択するビームラインである。三つ目は、チタンサファイアの基本波を非線形光学結晶に導入して、可視から紫外域の波長可変光を得るビームラインである。これらのビームラインから、各々の実験に必要な光を可視域から極端紫外域までの中から選択して分光実験を行うシステムを構築した。試料は気体あるいは溶液とし、飛行時間型光電子エネルギー分析器を用いて、時間角度分解光電子分光を開始した。その成果は、順次論文発表されている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フィラメンテ－ション四光波混合による6倍波発生は既に研究室で確立されていたが、本研究の中でさらに高強度の6次光を得る方法を開発した。これは2倍波(400 nm)を希ガス中で133 nmに変換する方法である。四光波混合では光パルス強度は若干劣るが高い時間分解能を得ることができ、2倍波から3倍波発生する方法では、より高い光パルス強度を得ることができる。これにより、紫外から真空紫外域のポンプ－プローブ光電子分光がより安定して行えるようになった。この手法は、水溶液中の核酸塩基の超高速電子緩和や水の真空紫外励起による水和電子の発生などの研究に適用され、成果が上がりつつある。また申請段階では、フィラメンテ－ション四光波混合で7倍波(113 nm)の発生を行うこととしていたが、実際には新たにレーザー高次高調波発生法を導入し、19次(42 nm, 29.5 eV)の極端紫外光を発生する光源を開発し、既に液体の水の角度分解光電子分光やピラジン分子の超高速電子緩和過程の時間分解光電子分光が開始されている。水和電子の光電子分光においては、励起電子状態からの超高速緩和過程に関する時間角度分解光電子分光や、水中での電子の弾性・非弾性散乱の解析をスイス連邦工科大学との共同研究で行った。光子エネルギー20 - 100 eVの高次高調波が実験室内で得られるようになったため、計画段階では放射光を利用すると考えていた実験も、レーザーで行えるようになった。以上のような成果は、世界的に見ても最も先端的な研究成果であり、本基盤研究(S)の目標に向かって、予想以上の成果を上げつつあると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
実験装置のさらなる研究開発を進めつつも、分光研究成果のアウトプットをあげるために、フィラメンテ－ション光源と高次高調波光源が独立に稼働できるようにシステムを整備する。具体的には、現在一つの光学テーブル上に窮屈に展開されている光学系を、隣り合う二つの光学テーブルに分岐させ、二台の光電子分光装置が同時に稼働できるようにする。高次高調波に関しては、回折格子を利用した分光器で光のバンド幅をこれまでよりも狭め、エネルギー分解能を向上させた実験を行う。研究対象としては、水和電子の超高速動力学を中心に、核酸塩基のエネルギー緩和、光触媒ナノ粒子の酸化還元反応などを対象として研究を進めていく予定である。
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