2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞から正常細胞への細胞外プッシュミーアウトシグナル関連分子の同定
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15H05990
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸山 剛 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (30613872)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞競合 |
Outline of Annual Research Achievements |
変異細胞からの細胞外シグナルが、正常細胞の抗腫瘍作用を惹起することが分かってきた。例えば、S1Pの受容体が変異細胞に発現しており、正常細胞から放出されるS1Pが変異細胞の逸脱を正に制御していることが分かってきた。しかしながら、変異細胞側から正常細胞に作用する細胞外シグナル因子は、現在のところ分かっていない。変異細胞と正常細胞の共培養特異的に正常細胞内で発現している遺伝子群は既にマイクロアレイ解析により同定している。これを基に、同定された遺伝子が実際に正常細胞側、変異細胞側どちらで発現しているかを確認した。方法としては、共培養した変異細胞と正常細胞をセルソーティングによりそれぞれを分離し、それぞれの細胞における遺伝子発現を定量的PCRにて解析した。その結果、マイクロアレイで発現が同定された遺伝子の一部について、定量的PCRでも発現が亢進していることが確認された。現在、これら遺伝子の内在性発現をモニターするためのレポーターアッセイ正常細胞をCRISPR/Cas9システムを基にしたノックイン法により作製している。作製はほぼ終了しており、正常細胞との共培養で、レポーターアッセイに適した細胞をイメージングアナライザーによって選別しているところである。今後は、選別されたレポーター正常細胞とプールドsgRNAライブラリーを感染させた変異細胞とを混合し、スクリーニングに進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイ解析で同定した共培養特異的に発現する遺伝子について、実際に正常細胞において発現しているかを定量的PCR法にて確認しようとした。その時のセルソーティングにおける細胞の回収率が低かったため、十分なRNA量を得ることができなかった。十分なRNA量を得るために、スケールアップし、セルソーティングを行うための条件検討に時間を要した。しかし、本年度ではCRISPRスクリーニングに着手できると段階にあり、概ね計画通りに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、プールドsgRNAライブラリーを持ちたスクリーニングを主に行う。 1. 全ゲノムを対象としたCRISPR/Cas9システムを用いたノックアウトスクリーニング 変異細胞にプールドsgRNA/Cas9発現レンチウイルスライブラリーを感染させる。感染させた変異細胞を1ウェルあたり1細胞になるように、予め正常細胞を播種した1536ウェルプレートに撒く。両種細胞が接着した後、テトラサイクリンにてGFP-RasV12の発現を誘導し、周辺正常細胞の蛍光をイメージングアナライザーにて定量的に解析する。ノックアウトによって蛍光が減弱しているウェルにて、単一細胞ジェノタイピングをおこなう。これにより、sgRNAのガイド配列部位のみをPCRにより増幅し、ターゲット遺伝子を同定する。 ライブラリーのスケールは、(全遺伝子数)X(一遺伝子に対して4 sgRNA)= 80000のsgRNAが含まれる。このため、スクリーニングに約52枚の1536ウェルプレートを使い、一次スクリーニングを二回おこなう。最終的に、全ゲノムより100遺伝子程度まで絞り込む。 2. 検証スクリーニングおよび生化学的手法による検証 検証二次スクリーニングでは、1.で作製した他のCCI遺伝子発現をモニターできるレポーター細胞を用いて、さらなる絞り込みをおこなう。最終的には、ヒト、マウス細胞もしくは、すでに細胞競合が見やすいMDCK細胞にて、共焦点顕微鏡下で細胞競合の有無を確認する。
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