2015 Fiscal Year Annual Research Report
リフトオフによる機能性酸化物の微細加工と新奇物性探索
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15H06029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 尚之 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90609942)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 微細加工技術 / デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、エッチング加工による劣化を伴わずに、ナノスケールまで微細加工できる新しい手法と要素技術を開発し、酸化物等の機能性物質の特性を最大限活用したナノデバイスにおいて新たな物理現象を探索することである。 ナノ構造でのみ発現する特性を引き出すには、微細加工技術が欠かせない。しかし、エッチングを用いる従来の微細加工技術では、ナノスケールの素子端面における劣化が不可避で、劣化に強い物質を選択して研究が行われている。本申請では発想を転換し、多様な物質系に適用可能なリフトオフ法を元とする新たな微細加工技術を開発することを目標に研究を進めた。この目標を達成するために着目したのは、無機材料を犠牲層として用いたリフトオフプロセスである。本申請では、高温耐性のある無機犠牲層を利用して、酸化物機能性物質のリフトオフを行う。数10 nmの線幅と、シャープな端面を得るために、温和な条件でリフトオフ可能な、無機犠牲層の2層構造を開発する。さらに、様々な条件でリフトオフできる2層構造の組み合わせを見つけることで、汎用なプロセスを実現する。従来の有機物レジストを元とするリフトオフプロセスを脱却することで、これまで微細化の難しかった機能性酸化物のエレクトロニクスへの応用を促す。汎用な微細加工プロセスを基盤技術として確立することができれば、基礎研究のみならず、産業界にも貢献しうると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能性酸化物の微細加工に適用可能な、無機材料の2層構造(無機2重層)を用いたプロセス開発を行っている。これまでに、無機2重層を用いてリフトオフすることにより、イオンミリングをすることなくμmスケールでの微細構造の作製に成功した。さらに、異なるエッチング溶液で除去可能な無機2重層を複数開発した。それらを機能性酸化物をはじめとする様々な物質系へと適用し、汎用性のテストを行った。初年度の目標であった、微細加工プロセスの開発は、当初の目標通り順調に遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、電子線リソグラフィーを用いてナノスケールの微細構造の作製に取り組み、開発した新しい手法でナノサイズの構造を作製できることを実証する。また、これまでに確立した微細加工技術を利用して、輸送特性や磁気特性の観点から興味深い物質群を微細化し、機能性物質を用いたメゾスコピック素子の開発を行う。微細構造での新物性探索を行い、基礎、応用の両面から研究を進めていく。
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