2015 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病、自己免疫疾患における(プロ)レニン受容体の臨床的意義の解明
Project/Area Number |
15H06038
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳴海 かほり 東北大学, 大学病院, 医員 (40754130)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 慢性腎臓病 / (プロ)レニンレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
当初予定していた海外協力者のNguyen博士らが確立した(P)RR floxedマウスはこちらへの到着が遅れており、現在遂行できていない。 しかしこれまでの期間に、当院での腎生検施行患者100名弱、当院で血液透析を導入した患者60名弱の血清中s(P)RRを測定した。腎生検施行患者における血清s(P)RR値と腎生検により得た腎組織のさまざまな指標、および生化学データとの相関関係について重回帰分析を行った。メサンギウム増殖性糸球体腎炎と診断された患者において、その血清s(P)RR値は糸球体のメサンギウム増殖の程度・硬化度や血清インドキシル硫酸と有意な相関関係を認めた。この結果の一部は海外学会で報告した。さらにメサンギウム増殖の程度・硬化度と血清インドキシル硫酸は相関する傾向にあった。そこで尿毒症物質の1つであるインドキシル硫酸は(P)RRを介しメサンギウム細胞の増殖や線維化などに関与している、と仮定し、基礎的検討を始めた。まず使用するマウスのメサンギウム細胞に(P)RRが発現していることを確認し、そのうえでインドキシル硫酸の刺激によりメサンギウム細胞の(P)RR発現が増強することをqPCR、western blotにて確認した。今後、(P)RR発現増強の機序や(P)RR発現増強に伴う作用など、詳しく検討していく。 また透析患者や腎疾患患者の血液から末梢血単核球を分離し、各免疫細胞(T細胞、B細胞、NK細胞、単球)表面における(P)RR発現についても検討している。引き続き継続する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者1名で患者の検体収集や実験全般、解析を行っており、進められることに限界があるものの、確実に成果を挙げているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた自己免疫疾患患者および慢性腎臓病患者のPBMCにおける(P)RR発現は引き続き検体を集め、検討を行う。さらに上記のインドキシル硫酸による(P)RR発現増強のメカニズムや(P)RRを介したメサンギウム増殖や線維化についてsiRNAや阻害薬を用いて立証していく予定である。本来腎不全期や透析患者において問題となる尿毒症物質が低濃度であっても、腎臓に影響を及ぼすことがわかれば新たな治療戦略となる可能性がある。
|
Research Products
(2 results)