2015 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成慢性創傷に対するリンパ球機能の解明と新規ケア技術への展開
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15H06052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丹野 寛大 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (10755664)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 看護学 / 免疫学 / 創傷治癒学 |
Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡や糖尿病性下腿潰瘍など慢性創傷では、細菌感染によるバイオフィルム産生が蔓延し、治癒が進行しない症例をしばしばみかける。細菌感染の制御には白血球が関与するが、白血球の中でもリンパ球の働きには不明な点が多い。 本研究では、非常に強力な免疫増強作用を有し、他の白血球の司令塔として働くリンパ球に注目し、慢性創傷の細菌によるバイオフィルム産生に対するリンパ球の機能を解明する。さらに、創傷ケアがリンパ球に与える影響、リンパ球活性化による新たなケア方法について検証する。 平成27年度は、リンパ球活性化物質であるα-galactosylceramide (GalCer)投与による急性創傷への影響を中心に解析した。α-GalCer投与により、コントロール群と比較し、創閉鎖率、血管新生、コラーゲン合成が促進することが明らかとなった。一方、筋線維芽細胞分化ではα‐GalCerによる分化促進効果は認められなかった。α‐GalCer投与により、活性化リンパ球が産生するinterferon-γ産生が創作成12時間をピークにコントロール群と比較し、有意に増加した。また、日本創傷治癒学会、日本免疫学会学術集会に参加し、最新の創傷治癒の研究および、免疫の情報収集を行った。 次年度は、急性創傷におけるα-GalCer投与の白血球集積への影響を解析する。さらに、感染創および糖尿病状態下での創傷にリンパ球活性化物質が与える影響および、リンパ球の役割の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年に慢性創傷におけるリンパ球機能の解析を行う予定であったが、マウス感染創モデル作成条件の最適化が、まだ済んでいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
急性創傷においては、リンパ球活性化物質投与により、創傷治癒が促進することが明らかとなった。今後は糖尿病マウスのような慢性創傷においても同様にリンパ球活性化により治癒が促進するか検討を行う。また、同時にマウス感染創モデルを確立し、バイオフィルム形成にリンパ球が与える影響についても検討する。
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