2015 Fiscal Year Annual Research Report
境界問題のないノンパラメトリックな多次元密度推定とその応用について
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15H06068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十嵐 岳 筑波大学, システム情報系, 助教 (40759346)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | ノンパラメトリック密度推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の研究成果を得た。 1)非対称カーネル推定量の1つであり、台が有界区間である密度を対象とするベータカーネル推定量のバイアス修正を行った。既存の積型バイアス修正に加え、加法型バイアス修正、それらの平滑化パラメータの比が1となる極限のバイアス修正を提示し、それらの漸近的性質(バイアス、分散、平均積分2乗誤差、漸近正規性)を示した。さらに、その平均積分2乗誤差から、極限のバイアス修正が他のバイアス修正より優れた漸近性能を持つことを示した。また、数値実験を実施し、有限標本においても極限のバイアス修正推定量が優れていることを示した。 2)台が非負である多次元密度を推定するため、まず多変量対数正規密度をカーネルとして多変量対数正規カーネル推定量を提案し、その漸近的性質(バイアス、分散、平均積分2乗誤差)を示した。さらに重み付き分布の発想から、重み付き多変量対数正規カーネル推定量へと一般化し、その漸近的性質(バイアス、分散、平均積分2乗誤差)を導出し、数値実験により、特定の重みにより性能が改善されることを示した。 3)台が非負である密度を対称とする逆ガンマカーネル推定量を再考察して、境界付近での推定における問題を回避できるよう定義し直し、その新たな逆ガンマカーネル推定量の漸近的性質(バイアス、分散、平均積分2乗誤差、平均積分絶対誤差、漸近正規性)について示した。さらに、それらの一般化について着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ベータカーネル推定量のバイアス修正に関する結果が学術雑誌Journal of Nonparametric Statisticsに掲載された。 2)本研究でキーワードとしている「多変量密度推定量」についての研究が進んでいる。具体的には、「多変量対数正規カーネルとその重み付きカーネル」に基づいた非積型の多変量密度推定量について全国学会や研究集会で報告した。さらにその研究成果を学術雑誌に投稿中である。 3)逆ガンマカーネル密度推定量の成果を学術雑誌に投稿中であり、さらに、一般化ガンマカーネル推定量の再考察、及び一般化逆ガンマカーネル推定量の研究に着手した(28年度に結果をまとめ、学術雑誌へ投稿できる見込みがある)。
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Strategy for Future Research Activity |
1)現在着手している、一般化ガンマカーネル推定量、及び一般化逆ガンマカーネル推定量について、そのバイアス修正を考える。 2)平滑化パラメータ選択法について考察。 3)非対称カーネル密度推定の判別分析への応用を考える。
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